おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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「世界最速のインディアン」

おすぎ

世界最速のインディアン
タイトルの“インディアン”は、“1920年型インディアン・スカウト”というオートバイのことであります。1962年、アメリカ・ユタ州のボンヌヴィル塩平原(ソルトフラッツ)で開催された、“スピード・ウィーク”というレースで、このオートバイで時速288キロの世界記録をたてたバート・マンローの姿を描いたのが「世界最速のインディアン」であります。

監督のロジャー・ドナルドソンは1971年にニュージーランドのインバカーギルのバートの小屋の前で初めて会い、テレビ用のドキュメンタリーを作りました。それ以後、このエキセントリックでユニークな男に魅せられ、いつか彼を主人公にして映画を撮ると決心します。35年かけ、それは実現します。日本人女性、深沢恵プロデューサーの存在が完成に大きな力になりました。

映画の前半はニュージーランドからボンヌヴィルまでのロードムービーの形式をとり描かれます。この過程でバートという人物がどんな人間かが判るようになっています。「バートの人生はスピードと女だった」とロジャーはいいます。バート、この時63歳。牧場の未亡人と一夜を共にするエピソードもあり、魅力溢れる男に共感してしまいます。後半は“ポンコツ”と馬鹿にされたマシンの威力を堪能してください。見終わって誰もが“いい映画を見たなぁ”と神に感謝したくなる映画です。

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「魂萌〈たまも〉え!」

おすぎ

「魂萌〈たまも〉え!」
桐野夏生の原作を阪本順治監督が映画化したのが「魂萌〈たまも〉え!」です。
阪本さんは、どこか男っぽいイメージがありますが「」では女性を主人公にして、なかなかの手腕を見せてくれましたので期待していましたら、期待以上の出来でした。

ただし、三田佳子加藤治子のふたりのベテラン、実力派がいなかったらこうはいかなかったでしょう。
確かに風吹ジュンは一生懸命やってはいると思いますが、ふたりの前では、ただのヒヨコと言っていいでしょう。

夫が定年になり3年過ぎたところで急死、葬式のあと洋服ダンスにかけてある背広のポケットの携帯電話が鳴って主人公の敏子は初めて夫に女がいたことを知ります。

その“夫の女”を演じるのが三田さん。妻の知らない外での夫を女は“タカさん”などといかにも自分のものだったように妻の前で呼ぶあたりのしたたかさ。男に金を出させて蕎麦屋を開いている女は敏子なんて足元にも寄れない“ふしだら”さを匂わす自由を持っている、そのあたりをなんとも言えない存在感で演じきっています。
治子ちゃんもカプセルホテルに寄生する老女を好演。風呂場で上半身裸でガンバってくれます。
豊川悦司今陽子藤田弓子由紀さおりには耐えがたいものを感じますがふたりの魅力あるベテランを見るだけでも価値ありの一本です。


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「それでもボクはやってない」

おすぎ

それでもボクはやってない
Shall We ダンス?」周防正行監督の11年振りの映画はコメディではなくて社会派ドラマ。それも裁判劇であります。満員電車で女子中学生に痴漢をしたと駅のホームで言われ警察に連れていかれた青年(加瀬亮)が、自分はしていないと否定しつづけたため拘置場に入れられ、検事の取り調べでも否認しつづけ、反省がみられないと起訴され、裁判に…。正義をつらぬこうとした人間が必ずしも裁判で無罪を勝ちとることが出来ないという不条理を描いています。

「塀の中の懲りない面々」などで拘置場などの風景は見たことはありますが今回の周防さんの映画はよりリアルに描かれていて、1回拘置されるとこういう生活を送らなければいけないのか、とつくづく寒々としたものが胸を吹き抜けました。そして裁判。どんなに秀れた弁護士がついても裁判官によって判決ってどのようにでもなることにア然。

日本の男たちは総て見ることをおすすめします。“痴漢”に間違われないための教科書といってもいい映画です。満員電車に乗る時はどんな状況でも必ずお尻から乗りこむべし、電車内では両手を上に挙げておくか、両手を脇の下にはさみこんでおくべし、というように…。なんという世の中!! を実感。

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「ラッキーナンバー7」

おすぎ

ラッキーナンバー7
映画ファンだと自認する人なら、この「ラッキーナンバー7」を見逃したらいけません。

まず、キャスティングの魅力!! ジョシュ・ハートネットブルース・ウィリスモーガン・フリーマンベン・キングズレー、それにルーシー・リュー。この顔合せで、どんな内容の映画が…。

オープニングから1時間たっても何がスクリーンの中で起こっているのかさっぱり判らないのです。車椅子に乗ったブルース・ウィリスが空港の待ち合い所らしきところで若い男に話しかけ、そして殺してしまいます。

次にジョシュがニューヨークに来て友人のアパートを訪ねてきて、友人は留守で隣りにルーシーがいて、何となく会話を交しているとマフィアの男たちが現れ、ジョシュは彼らに連れて行かれ、ボスのモーガンのところへ。ボスから、通りをへだてたマンションに住む敵であるベンを殺れと言われるジョシュ。ここまでジョシュは裸であります。

これが途中から、もしかしてこういう話かなぁと興味津々となり、ちょっとした糸口が見つかるとあとはグイグイと面白くなり、ラストはあまりの鮮やかさに拍手喝采となります。ジョシュは可愛いし、セクシーだし、男っぽいし、文句なく楽しめる最上の映画であります。

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「どろろ」

おすぎ

どろろ
新年明けましておめでとうございます。
一応は“お年賀”の挨拶です。
昔は正月だというとワクワクして映画館通いをしたものです。
娯楽大作がどの劇場(コヤ)でもかかっていて、どこを見ても華やかで楽しいものでした。だから今回も娯楽大作、それも日本映画であります。封切られるのが1月27日とちょっと時間がありますが情報として頭に入れておいてください。

手塚治虫原作で、映画化するのは無理だと言われていたものを塩田明彦監督が立派に作ってくれました。
実を言うと、見る前はまったく期待していなかったのです。妻夫木クンが果たしてうまくやれるのか、と心配だったのです。
でも、とても素晴らしかった。
魔物たちに赤ん坊の時、目、耳、口、手、足、五臓六腑48ヶ所を奪われた百鬼丸を美事に演じ切りました。特に視覚を奪われていて心の目でしかものを見られなくなってしまっていますから、焦点を合わせない、というより虚無の状態の目を本当にそのように演じました。魔物を1匹殺すことによって失われた部位が戻ってくるので、(このあたりもとても興味深いのです)目が戻ってきた時の目の演技も文句のつけようがありませんでした。

とても楽しく見ましたが柴咲コウが少々、五月蝿いのがマイッたのです。

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