おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

プロフィール

プロフィール画像
おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

最近のレビュー・記事

このブログで使用したタグ

ブックマーク

RSS1.0

「ロッキー・ザ・ファイナル」

おすぎ

ロッキー・ザ・ファイナル
シルベスター・スタローン「ロッキー」の6作目を作る、と聞いた時は「バッカじゃないのォ」と心底思いました。
今さら、何故、ロッキーなの? でも今年アメリカで公開され、ヒットしたと聞いては見ないわけにはいかない、と…。

しかし、見る前は、どうせ無駄な時間を過ごすんだろう、と期待はゼロでした。
それがどうでしょう。
映画が始まって30分もしないうちから目には涙、スクリーンが滲んでしまい、ラストまでズーッと泣いていました。名作だとか秀作だとかではないけれど、30年前に1作目を見た時の感動が蘇ってしまい、ロッキーの30年と私の30年が重なって、なんとも感無量になってしまったのです。

生卵を飲むシーンあり、屠蓄場で肉にパンチを浴びせるトレーニングシーンあり、美術館の階段を駆け上るシーン、勿論、あのビル・コンティの名テーマ曲が流れ、その上、雪が降り、という、これ以上ない効果が胸をしめつけます。

年を老った元有名人の悲哀から始まって、家族、友人とのコミュニケーションの再生というテーマも小気味良く描かれていて、文句ない作品になっています。
フィラデルフィアの街角、アイススケート・リンク跡地など1作目の面影が映画に色をつけ満足、満足、の作品に…。


「ロッキー・ザ・ファイナル」特集


「輝ける女たち」

おすぎ

輝ける女たち
何時も試写を見る時は事前に情報をまったく入れないようにしています(大作とか、話題作で自然に耳に入ってしまうことはありますが…)。「輝ける女たち」も、フランス映画でカトリーヌ・ドヌーヴエマニュエル・ベアールが出ているくらいしか頭の中に入れないで出掛けました。

舞台はニース。
映画の面白さは、自分が行ったことのある街をスクリーンで見ることでもあります。
“カンヌ国際映画祭”に通っていた頃、必ずニースの空港に着き、1泊してカンヌに入ったものですから、ニースの海岸が写っただけで、もう喜んでしまいました。
そしてキャバレー。その名も“青いオウム”。
当然、ステージがあって、ミュージック・ホールばりにショーを見せてくれます。歌姫がベアールで彼女自身が歌を唄っています。それも6曲も披露してくれます。

キャバレーのオーナーが自殺して、彼を父のように慕ってきたマジシャンのニッキー、そして彼の息子と娘が集まりお葬式をするというのがオープニング。子供たちは後を引き受けるつもりはありません。
ふたりの母親は異なっていて、息子の母がドヌーヴというわけ。人間それぞれ“秘密”があり、だからこそ楽しい。スクリーンを見ながら思わず満面微笑が…。
大好きな映画です。

■「輝ける女たち」の作品情報・劇場情報はコチラ


「クィーン」

おすぎ

BKSnUAadnG.jpg
ヨーロッパであれ、世界中であれ“王族”とか“王室”とかいうものは何となく耳目を集めさせてはいけない、という空気が私たち日本人にはありますよね。
そんな中、スティーブン・フリアーズ監督が作った「クィーン」を見た時、ショックを受けました。
いえ、良い意味でのショックです。イギリスの王室を襲ったスキャンダルの渦の中で、エリザベス女王はどのように考え、行動したのか。時の首相のブレアは、その時、どんな働きをしたのかを美事に描いたからです。

スキャンダルとは勿論、ダイアナ妃の事故死です。すでに民間人に戻ったダイアナに対して王室の反応は冷ややかだった。その中でブレアは国民が王室に対して反発を持たないために何をしたら良いかを模索し、王室と国民の橋渡しになることに徹した様を本当に美事に描き切りました。その展開は上質のサスペンスを見ているみたいです。

エリザベス女王を演じ、米アカデミー賞でオスカーを手にしたヘレン・ミレンはシリアスなまでにエリザベス女王を演じ、気晴らしに出たスコットランドの大自然の中、自動車の故障で、助けがくるまでたったひとりになった時の女王の様には、思わず喝采を叫ばずにはいられませんでした。


必見!!

■「クィーン」作品情報、劇場情報はコチラ


「恋しくて」

おすぎ

恋しくて
沖縄を中心にして映画作りをしている中江裕司監督の新作は「恋しくて」。
石垣島出身のミュージシャン“BEGIN”のエッセイ“さとうきび畑の風に乗って”にインスパイアされ、彼等からの話も聞き、彼等のエピソードに、中江自身のオリジナル・ストーリーを混ぜて作られたのが「恋しくて」です。

タイトルの「恋しくて」はBEGINの大ヒット曲の題名からとったものです。映画のオープニングは高校生になった加那子(山入端佳美:やまのはよしみ)が幼馴染みの栄順(東里翔斗:あいざとしょうと)と再会するところから始まります。加那子の兄のセイリョウ(石田法嗣:いしだほうし)の「バンドやるどー」の一声で、楽器も弾けない連中がバンドを組むことに…。
この素人バンドがどのようにして東京のテレビ局のコンテストにまで進出してくるかを、中江独特の明るく、前向きに、石垣島の風習・風俗も取り入れて見せてくれます。“八重山バンド天国”というコンテストに出場するバンドは全て石垣島で活躍しているバンドたちなのが楽しい。

加那子と栄順との淡い恋も、携帯の無い時代の“切なさ”や“期待感”がにじみ出ていて懐かしさが一入であります。セイリョウ役の石田法嗣がとてもさわやかで、その上、哀感があっていい!!

■「恋しくて」の作品情報、劇場情報はコチラ