おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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その名にちなんで

おすぎ

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今年見た映画の中で一番好感を持った作品が「その名にちなんで」でした。

人は誰でも名前を持っています。でも、自分がつけたものではなく、大抵の場合、親がつけるか祖父母(アメリカには“ゴッドファーザー”というのがありますが…)がつけるのが普通です。「その名にちなんで」はピュリッツァー賞作家ジュンパ・ラヒリのベストセラー小説を「サラーム・ボンベイ!」「モンスーン・ウェディング」ミーラ・ナーイルが映画化した作品です。

1977年、アメリカの大学で工学を学んでいるアショケは、親のすすめるアシマと見合いをし結婚する。その後、アメリカに渡り、新婚生活を送る。アシマがアメリカの生活に慣れてきた頃、夫婦の間に男の子が生まれる。インドでは子供の名前を生まれてすぐにつけなくてもいいのだが、アメリカの病院では名前をつけないと退院出来ないと言われ、仮に“ゴーゴリ”とつけた。その名前にはアシュケを襲ったある出来事と関係があった。

月日が流れ“ゴーゴリ”が高校生になった時、文豪ゴーゴリが授業で紹介され彼が超変人だったとゴーゴリは知る。それがキッカケで家族との溝が出来てしまう。大学で建築学を専攻し、就職したゴーゴリに恋人が出来、家族との距離は増々拡がっていく。そんなある日、オハイオの大学で教鞭をとっていたアショケの身に異変が…。

自分につけられた名前によって子供としての道をはずしてしまった若者とその家族の絆を感動的に描いた秀作です。ラスト、母親アシマの生き方に感動しました。
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ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記

おすぎ

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こちらも全世界同時公開であります。ジェリー・ブラッカイマーというプロデューサーは、やはり“ただ者”では無いですねぇ。映画の楽しさ、面白さを熟知していて、お金をかけ、豪華絢爛、たっぷりなサスペンスと驚くようなミステリーを作りあげてくれました。一作目の「ナショナル・トレジャー」も面白かったけれど、シリーズ化した2作目はさらに派手になり、観客が好きになりそうなエレメントを幾つも用意しています。

日本題の副題「リンカーン暗殺者の日記」より、私としては原題の「大統領の秘密の本」という方がピッタリなのでありますが、まあ、いいかぁ。今度は南北戦争の時、イギリスの女王が南軍に送ったという黄金のありかを探す旅であります。それはリンカーンを暗殺した男の黒幕としてベン・ゲイツの先祖がいたという汚名まで含んでいた。ベンの父パトリックは家名のため立ちあがらなければならなくなる。別れた妻、すなわちベンの母親エミリーをも巻きこんで展開していく。勿論、天才ハッカーのラリーも、ベンの妻のアビゲイルも大活躍し、ニューヨークからパリ、ロンドンのバッキンガム宮殿、ホワイトハウスでの発見から大統領誘拐に発展していく。果たして≪黄金都市≫は存在するのか…。とても楽しく痛快に出来た娯楽大作!!
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アイ・アム・レジェンド

おすぎ

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予告篇を何度も見て、ワァーすごそう、と思い、早く見たいと思ったのが「アイ・アム・レジェンド」でした。公開が世界同時というのでギリギリで見せてもらいました。

原作は1954年に発表されたリチャード・マシスン「アイ・アム・レジェンド」で、過去に2回映画化(1964年「地球最後の男」、’71年「地球最後の男 オメガマン」)されています。近未来のニューヨークで出現したウイルスは、またたくまに世界中に猛威をふるい、全人口の9割に感染し、死亡させた。大都会ニューヨークで生き残っていたのは科学者のロバート・ネビル(ウィル・スミス)ただひとり。彼はウイルスを世に送り出した人間の替りに、ある決着をつけようと努力していたが…。

ストーリーは“ゾンビ”もの的で新鮮味はありませんが、ニューヨークの風景には圧倒されます。見馴れた摩天楼が朽ちていたり、蔦に絡まれていたり、道路は罅(ひび)割れし、そこから雑草が生えている。カメラは、そのビル群を俯瞰で見せます。一本の道路を車を走らせている人間がいる。車にぶつかるように走る鹿の群、空には群舞する鳥の群、多分、現実のマンハッタンを撮り、それに3DアニメやCGで加工を加えたのだろうが、これが圧感なのであります。一見の価値有り。でも映画を見てる最中、ズーッとイライラ感がつきまとっていました。
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やわらかい手

おすぎ

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1968年、ジャック・カーディフ監督の「あの胸にもう一度」という映画でアラン・ドロンと共演したエナメルのジャンプスーツに身を包んだ女優を憶えていますか? と書きながら今から40年前の映画を見ている人って若い人には少ないにきまっているし、年輩の人も憶えている人は少ないかもしれないなあと感じています。

このジャンプスーツを着てオートバイに跨っていたのがマリアンヌ・フェイスフルという女優でした。当時、彼女はミック・ジャガーの恋人でした。歌手でもあり女優としての姿も1969年に終焉を迎えます。ドラッグの過剰摂取で意識不明の重体になり、その後、ドラッグ中毒となり華やかな舞台から姿を消しました。80年代に入って歌手として活動を開始し、映画にも顔を出すようになりソフィア・コッポラ「マリー・アントワネット」にも出演、そして「やわらかい手」で堂々たる主演女優復活をなし遂げました。

その「やわらかい手」は、なかなかユニークな映画です。孫が難病のため海外で手術をするのに莫大なお金が掛かる主婦のマギーは、ソーホーの歓楽街の風俗店でラッキー・ホール(壁に穴が開いていて、男の客が、その穴に男性自身を入れると女性の手によって男の客を絶頂に導くという、日本の新宿・歌舞伎町で開発されたもの)の接客として働くことに…。彼女は“イリーナ・パーム”(手のひらイリーナ)という源氏名で評判を呼ぶが…。

とにかく良く出来た映画です。中年過ぎの女性の生き様が清々しく描かれているのがとても素晴らしいし、風俗店の店長がイキで楽しい。なかなかの佳作です。
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