おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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「君のためなら千回でも」

おすぎ

きみのため.jpg「ネバーランド」で人間洞察の鋭さを見せてくれたマーク・フォースター監督が、カーレド・ホッセイニのベストセラーを映画化したのが「君のためなら千回でも」であります。

映画は、2000年のサンフランシスコから始まります。小説家を夢見たアミールは初めての小説が出版された日、一本の電話を受けとります。故郷アフガニスタンで父の友人だったラヒム・ハーンからだった。ハーンはアミールに衝撃的な事実を伝え、20年振りにパキスタンで会いたいと言う。初めは断ったアミールだが、真実はあまりにも重かった。

まだアフガニスタンが平和だった頃、1970年代、ソ連軍が侵攻してくる前、アミールは上流社会の一員だった。裕福な家庭ではあったが母はアミールを出産する時に亡くなり、父親の手で育てられた。そんな境遇の心の支えは、召使いの息子でひとつ年下のハッサンだった。幼い頃から一緒に育ち、いつも行動を共にしていたふたり。冬休み最大のイベント、凧揚げ合戦の日、アミールとハッサンは最高の栄誉を手にしたが、悲劇が待っていた。ハッサンに起こったひとつの出来事を目撃したアミールは、その時からハッサンを避け、ある裏切りをしてしまう。離れ離れになったふたりを、尚、引き裂いたのはソ連の軍隊だった…。一本の電話でハーンに会ったアミールは、タリバン政権下の故郷に入らざるを得ず、アフガニスタンに向うのだった…。

子供の頃に裏切った代償を払うアミールの前に繰り広げられるストーリーは驚愕そのものです。心を打つ行動を見ながら涙が出てきました。人間の絆をシッカリ見て欲しい。

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■「君のためなら千回でも」劇場・作品情報はコチラ
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「ウォーター・ホース」

おすぎ

うおーたーふぉーす.jpg映画として秀れている、とは言難いのですが、たった一枚の写真を見て、よくこんなストーリーを考え出したものだなぁ(原作、原案を“ベイブ”ディック・キング=スミスであります)と感じたことと、それをあまりにストレートな直球でありながらラストまで見せてしまう映画の力に感心してしまいました。イギリスの“デイリー・メール”という新聞に掲載されて一躍有名になった“ネス湖のネッシー”の写真がニセモノだと結論された時、写真は偽物かもしれないがネッシーがいないと言い切れるわけでは無いと、大胆な発想で生れたのが「ウォーター・ホース」です。時は第2次世界大戦真っ只中、スコットランドの村に母と姉と共に広大な屋敷に住んでいるアンガスは、ある日、ネス湖の岸辺で不思議な卵を見付けて家に持って帰ります。その卵から孵ったのは、今まで見たこともない生物だった。アンガスは、それに“クルーソー”と名付け、誰にも内緒で飼っていましたが、“クルーソー”の成長は早く、姉と母が雇ったモーブリーに知られてしまう。

大きくなったクルーソーをいよいよ湖に帰しますが、ドイツの潜水艦と間違えた英国の兵士が大砲で攻撃することに…。クルーソーの命とアンガスとの友情はいかに…。ラストの救出劇はなかなか見ものであります。爽やかなファンタジー・アクション映画です。

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スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師

おすぎ

スウィーニー.jpg

スウィーニー・トッド」は1846年11月に“ピープル”誌に掲載された“真珠の首飾り、ひとつのロマンス”と呼ばれる物語の中で創り出された人物であるとも言われています。トッドは客が理髪店のイスに座っている間に喉を切り裂き、彼らの血まみれの死体をダストシュートで地下室に降ろす。そこで共犯者であるパイ店の未亡人ミセス・ネリー・ラベットが死体を細かく刻んでミートパイに詰める。そのパイは何も知らない民衆に売りさばかれる、というのがストーリー。作者はトマス・プレスケット・プレストで、それが1847年に“フリート街の悪魔の理髪師”という副題がついて舞台劇となり、1973英国の劇作家クリストファー・ボンドの手で戯曲化されたのが「スウィーニー・トッド」です。この戯曲を基にして1979年スティーブン・ソンドハイムとヒュー・ホウィーラーが創り出したのがブロードウェイ・ミュージカル「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」でした。そして今、あのティム・バートンが、このミュージカルを基にして映画化したのが映画版「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」なのであります。スウィーニー・トッドにジョニー・デップが扮し、ミセス・ネリー・ラベットはヘレナ・ボナム=カーターが演じます。私は観る前に、私より先に観ていた人から「もうたまらない、あんなに血がドバドバ出て…。観てられなかった…」と聞いていましたが、観たら血の量が足りないなあと思いました。

復讐に燃えた男が理髪店のイスに客を座らせて首を真一文字に切り裂くのですもの、そりゃあ、血も出ますよ。目的を達するラストなんて何人もが殺され、ミンチになりますから血に弱い人はダメかもね。ソンドハイムの音楽はどこまでも美しく…、私は大好きな映画ですが、これって賛否が分かれるかも…。あなたはどっち派かしら。

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ジェシー・ジェームズの暗殺

おすぎ

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40歳過ぎているのに今だに人気者のブラッド・ピットが、製作もし、主演もしている「ジェシー・ジェームズの暗殺」は、伝説的存在で、真の人間性が見られないジェシーが本当はどんな人物であったのか、そして若い仲間のロバート・フォード(ケイシー・アフレック)に何故、暗殺されなければならなかったのかを描いた“心理ドラマ”であります。ジェシー・ジェームズと聞けば“西部劇”と思ってしまう人は要注意であります。勿論、列車強盗も銀行強盗もドンパチもあります。が、描こうとしているのはロバート・フォードとジェシーとの関係です。ジェシーに憧れて、彼の仲間となったロバート、しかし、ジェシーが怖れていたのは保安官でも追っ手でもなく仲間だった。ジェシーは次々と仲間を撃っていきます。もっとも信頼していた仲間を撃たなければいけない立場のジェシーにカリスマ的な存在感はありません。監督のアンドリュー・ドミニクは、その心理の象徴として荒野、それも晩秋から冬にかけての風景の中にジェシーを立たせます。空は何時も寒々としたブルーで、そこを雲が幾つも流れていきます。

そういうシーンが何度でも出てきて、観る方はイライラしてきます。要は、この映画が伝えたかったことはラスト15分だけで充分だったと私には思えるのです。暗殺してしまったあとのロバートの姿、そこは非常に興味を持てるテーマがあります。とにかく長い。2時間40分。40分は切って欲しかった。ケイシー・アフレックがいい!!

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