おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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ペネロピ

おすぎ

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上流社会での名家、ウィルハーン家の5代前のラルク・ウィルハーンが使用人のクララに手を出し妊娠させ、その上、ポイと捨てて別の令嬢と結婚してしまう。それを怒ったクララの母は魔女となって「次に生れてくる娘は豚の鼻と耳を持った子であれ」と呪いをかけてしまう。その呪いを解くには、上流社会の“お仲間”の男が、その豚娘に永遠の愛を誓うことだと…。5代にわたってウィルハーン家は男の子ばかり生まれ、現代のジェシカが生んだのが娘だった。豚の鼻と耳を持って生れたペネロピ。家族の世間への壁は万全で、ペネロピは年頃になるまで一歩も外に出たことがなかった…。親はなんとしても呪いを解こうとするが…。上手にファンタジーと現代の歪んだ世相を反映させたストーリーを考え、美事に楽しくも可愛い映画を作ってくれました。

呪いを解くためといって、名家の息子たちと見合いを繰り返しても豚娘であることは封印させてきたのに、たったひとりのバカ息子に知られ世間にバレ…という風に決していい方向に向かわないのが、“女の自立”方面から話は別な角度に変ってくる。なかなかの腕前であります作り手たちは…。

ペネロピを初めて愛した男を演じるジェームズ・マカヴォイは注目株、成長株ですからツバをつけときましょう。ペネロピのクリスティーナ・リッチは豚の鼻の方がズーッとチャーミングという異色女優。私はとても好きな映画です。

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ライラの冒険 黄金の羅針盤

おすぎ

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CGとSFXが進化するために必要だったのはファンタジー映画だといい切っても過言ではない、と思わせたのは、「ロード・オブ・ザ・リング」で成功を納めたニュー・ライン・シネマが再び挑んだファンタジー大作、フィリップ・プルマン原作の“ライラの冒険”シリーズであります。
「ライラの冒険/黄金の羅針盤」は、その第一部。

我々が住む世界と似てはいてもどこか違うパラレルワールドを舞台に、ライラという名の少女が真実を写し出す羅針盤を手にして冒険の旅に出るストーリーは、いつの世にも権力を一手に持ちたいと願う組織と、それらに組しない“自由”を尊ぶ人物達との闘いになります。少女ライラはそこに存在する真実を求め、旅の途中で出会うジプシャン、気球乗り、魔女族の女たち、鎧熊族のイオレクを味方にして、組織“教権”に立ち向います。主人公は女の子であっても、充分大人たちが見て面白く出来ています。とくに、かって鎧熊族の王であったイオレクがライラの力を借りて、一族の王に帰り咲く戦いに挑むシーンの圧巻と迫力は一見の価値ありです。また組織の権力者のひとりという悪役を演じるニコール・キッドマンも多少のカタさはあっても堂々たるものです。ライラを演じるダコタ・ブルー・リチャーズも小生粋(こなまいき)ではあっても魅力的です。映画の後半になるほど興奮する一作です。

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いつか眠りにつく前に

おすぎ

いつか眠りにつく前に

この春は映画史に残るような映画が続々と公開されます。「いつか眠りにつく前に」もその1本と言っていいでしょう。人間、誰でも死を目の前にした時、人生の中で自分が犯した“ミス”を思い苦しむのではないでしょうか。そんな人生は送っていない、と言い切れる人はそうはいないと私は思っています。

この映画の中で、ヴァネッサ・レッドグレイヴ扮するアンは、臨終の床の上である事で自分をせめていた。ある事はアンの回想として出てきます。若いアン(クレア・デインズ)はニューヨークでクラブのシンガーをやっていますが、この日はニューポートの親友ライラ(マミー・ガマー)の結婚式にブライドメイドとして参加していた。ここで、ある事件が起きます。しかし、アンはその時現場にはいずに、ある男と会っていました。回想は戻り、年老いたアンのベッドの端で、二人の娘が見守っています。アンの口から“ハリス”という男の名前が出ます。娘たちは、その男が誰なのかを知りたくて、親友だったライラ(年を老ってからをメリル・ストリープ)を呼ぶことに…。回想と現実、幻想と困惑が混じり合いながら展開されていく映画は、つくづく頭のいい人たちって世の中にいるのだ、と思わせてくれます。メリルとガマーは本当の親子で、年を老ったライラと娘時代を演じます。ヴァネッサとナターシャ・リチャードソンも実の親子ですが、映画でもアンと娘コンスタンスを演じています。メリルが画面に出てから、人間は安らかに死ねるのだと思わせてくれるのです。とても良い映画です。

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エリザベス:ゴールデン・エイジ

おすぎ

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10年前に、「エリザベス」が公開された時は続編などというものが作られるなんて思いもしなかった。ケイト・ブランシェットの“ヴァージン・クイーン”の凛々しさで“一丁上り”と思っていたので、「エリザベス:ゴールデン・エイジ」が公開されるのが不思議な気がしたし、意外でありました。ところが見てビックリ。前作より数段も大作になっていたからです。プロテスタントを国の宗教とした父のヘンリー8世の遺志を継いだエリザベスの、今回の最大の敵はカトリックの大国スペインだった。幽閉されていた従姉妹、スコットランドの女王メアリー・スチュアートを死刑にしたことでフェリペ2世が怒り、1万人規模のスペイン無敵艦隊をイングランドに向かわせたのだ。迎え撃つエリザベスは甲冑に身を包んで前戦におもむくのだった…。この戦いが始まる前の段階でクライヴ・オーウェン扮する航海士ウォルター・ローリーへの淡い想いが描かれるが、それより、やはり国難に立ち向うエリザベスの姿の神々しいこと。ラストの岬の先端に立つケイトは、まさにエリザベス女王そのもの、といってもいいくらいの貫禄がそなわっていました。映像は勿論素晴らしいのですが衣装の美事さは特筆すべきでしょう。そして音楽、録音(城の中を歩く時の絹ずれの音など)も、また拍手ものであります。

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