おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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ミスト

おすぎ

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スティーヴン・キング+フランク・ダラボン、といったら「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」の2大感動作のコンビであります。ダラボンは自分が長編デビューをするならキングの、この小説、というものがあったといいます。それが「霧」という恐怖小説で、今回、それがやっと実現したことになります。

「ミスト」はダラボンの製作、監督、脚本3役の映画です。別荘地に住む、映画ポスター画家のデヴィッドは前夜の嵐で庭の大木が倒れ、仕事場が破壊されたので息子のビリーを連れて町のスーパーマーケットに買物に出掛けようとして、妻のスティファニーの指摘で湖の対岸に発生した霧を見て不安に思った。スーパーマーケットに着き、知人たちと昨夜の嵐の話をしたりしていた時、突然大きな揺れがきて、停電になる。気がつくと建物はスッポリと濃い霧に包まれていた。ショッピングに来ていた人々が不安気にガラスの向うを見ている中、中年男が突びこんで来て「霧の中に何かいるっ!!」と叫んだ。霧の中にいるものの正体は…。

スーパーマーケットに閉じ込められた人間たちはパニックの末、それぞれの本性を徐々に現わしてくる。キングの描く外にいる何者も怖いが、本当に怖いのは人間である、という部分が非常にうまく描かれていて、映画に引きこまれていきます。ただ、霧の中から襲いかかってくる“もの”の全体像がなかなか掴めないイライラとラスト15分のクライマックスのあとの不条理に不快を感じる人がいるかもしれません。

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スパイダーウィックの謎

おすぎ

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私は「ネバーランド」で初めて“フレディ・ハイモア”という子役を見た時、とても生きている少年という風に思えなかったのです。
ティム・バートン「チャーリーとチョコレート工場」を見た時、ああ、この子は現実の世の中より、どちらかというと“ファンタジーの世界”に住む子供なんだなあとふっと思ったものでした。リュック・ベッソンの実写とアニメを併合した「アーサーとミニモイの不思議な国」で、その気を一層、強くしました。「スパイダーウィックの謎」を見る前、なんの知識も情報も見ないで試写にのぞみ、F・ハイモアが2役を演じることを知り、なんとなく期待してしまったのです。妖精の世界の悪玉と戦う少年だ、というのでありますから…。“スパイダーウィック”とは人の名前で、ハイモア扮するサイモンとジャレッドの“大叔父、アーサー・スパイダーウィッグ”のこと。この双子の兄弟と姉のマロリー、母親のヘレンは、アーサーが80年前に建てた奇妙な屋敷に引っ越してきました。扉をあけて入った途端、信じられないことが次々を起こります。勝ち気で、冒険好きのサイモンは屋敷の中にある不思議な部屋で、アーサーが書き上げた一冊の本を見つけます。その“妖精大図鑑”には“警告”がつけられていて、開けてはいけない、と書かれていました。サイモンは、その封印を解いてしまいます…。さあここからはCGとVFXを駆使しての悪妖精と双子の兄弟と姉の連合軍との、華麗で、少し醜悪で、楽しい戦いが繰り拡げられていきます。まったくF・ハイモアはファンタジーの世界の住人だと判るのであります。大人も充分、楽しめるファンタジーの秀作です。

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ヒットマン

おすぎ

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「ヒットマン」なんてタイトルの映画はつまらないのにきまっている、と思って見て、これが意外な“ヒロイモノ”で楽しんで見てしまった。と言っても、誰にも彼にも「面白いから見なさい!!」と“オススメ”する映画では無いと思います。原作がヒット・アクション・ゲームですから銃撃戦、殺し屋同士のプロの緊迫感溢れた対決、武器密売組織との格闘、ラストのクライマックスでのバトル。主人公ヒットマンである“エージェント47”が繰り出す、流れるように華麗で、まるでバレエの振り付けを見るごとくの殺人技の数々は、CGもVFXも併用してのものですから想像出来ないことは無いけれど、そのスピード感といい、タイミングといい、今まで見た、この手の作品の中でも秀逸なもの、といっていいでしょう。それとスタイリッシュでエキサイティング(まあ、なんと使い古された修飾語でありますが…)なヴィジュアル。これが息つく間もなく連続で展開されると、一種の“目まい”を生じて、度々、ストーリーが見えなくなります(ここはどこ、私は誰状態に陥りますが、シンプルなストーリーなのですぐ立ち直ります。まあ、そこがいいとこね、なのです…)。では何故、良かったのか、というと“エージェント47”役のティモシー・オリファントがスキンヘッドで後頭部にバーコードのタトゥーを入れた異様なスタイルなのに、時に見せる悪戯っ子みたいな表情がチャーミングで見つづけてしまった、という理由。

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つぐない

おすぎ

つぐない

今年、いままでで見た映画の中で私の一番好きな作品が公開されます。ブッカー賞作家イアン・マキューアンの世界的ベストセラー“贖罪”をジョー・ライト「プライドと偏見」)監督が映画化した「つぐない」が、その映画です。

1935年、戦火が忍びよるイギリス。夏のある日、政府高官ジャック・タリスの屋敷で息子リーオンとその友人が休暇で帰ってくるのにあわせて晩餐会の準備がすすめられています。末娘のブライオニーは戯曲を書き、それを上演しようと屋敷にあずけられている叔母の子供たち、従姉妹のローラと双子の弟たちと練習している。上の姉のセシーリアは大学を卒業していたが何をするのでもなく毎日を過ごしていた。その日も窓の外を見ていたが、視線はタリス家の使用人の息子ロビーの姿だった。会食が始まる前にセシーリアとロビーは昼間起こった事で話し合うため図書室に入ったが、そこでふたりは愛を確かめあった。それを目撃したのがブライオニーだった。事件は、その夜に起こった。双子が行方不明になり、屋敷の人間が捜すうちに双子の姉のローラが何者かに犯されてしまったのだ。警察の調べにブライオニーは犯人を知っていると言い、ロビーを名指しする。少女がついた小さな嘘が姉と姉の恋人を引き離してしまう。

私は美しい映像で展開されるラブ・ストーリーをリラックス気味に見て楽しんでいた。映画は時が流れ戦争に突入。ロビーは戦場に行き、セシーリアは看護師になり、ブライオニーも見習いの看護師に…。そして時は流れ、1999年に…。年老いたブライオニーは大作家なっていた。そしてテレビのインタビューで衝撃的告白を…。このラスト近くで私は強烈な悲しみに襲われ、目から溢れる涙は止らず、ハンカチを噛んで嗚咽がもれないようにしました。初めての体験でした…。


クローバーフィールド/HAKAISHA

おすぎ

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ショッキングなポスター(首のもぎとられた自由の女神が手前にデザインされ、奥は炎上し、崩れおちているマンハッタンの摩天楼が描かれている)を目にして、絶対、見たいと思いました。ところが見たら、思ったのと違うのにビックリ!!。手持ちのビデオの映像が延々とつづきます。はじめのうち、何が起こっているか、皆目、見当がつかず、もしかして試写室を間違ってしまったのかと思ってしまいました(結局、映画のラスト近くでオープニングの映像が重要なものになってくるのでありますが…)。そのうちホームパーティーの模様が写し出され、いい加減、それにアキてきた頃、ドスーンとマンションが揺れ、室内灯が点滅します。パーティーの人間たちはマンションの屋上に昇ります。マンハッタンの幾つかのビルは停電しています。港ではタンカーがひっくり返ったという情報が流れ、何度目かの大きな揺れで皆が通りに出ると近くのビルが崩れ、大きな塊が飛んできて、道路に拡がります。何であろう、と見るとちぎれた自由の女神の頭部だった…。という具合に“HAKAISHA”によるニューヨークの破壊が展開されていきます。ただし、映像は手持ちのビデオが捉えた映像のみ…。

どっかで見たことがあるなぁと、気がついたのが「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の手法で、あれをグレードアップしたものでした。まあ、そこがユニークであり、物足りなさでもあります。見て損はしないが満足も半分。
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■「クローバーフィールド/HAKAISHA」劇場・作品情報はコチラ
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