おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

おすぎ

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「インディ・ジョーンズ」シリーズ19年振りに登場。けっこう、危ぶんでいたのです。何しろ、ハリソン・フォード、年でありますから、そう66歳なのです。

2006年の「ファイヤーウォール」では、もうヨタヨタのアクションでしたけど、別にあの作品はアクションが売りではなく、年相応、いや、ビジネスマンが仕方なく悪者相手に殴り合いをする、という設定だからモタモタ、ヨタヨタであってもいいけれど、今回は“インディ・ジョーンズ”ですよ。“腐っても鯛”ぢゃございませんか。それなりに軽快にやって欲しい、と思って当たり前。ところが、これが裏切らないのです。

ヨタヨタ感が無いと言ったら嘘だけど(鞭を倉庫の梁に巻きつけ、自分の身体を移動させようとすれば、着地出来ず、振り子状態なってしまったり…)、それなりにガンバっているとこに好感を持ててしまうのです。それに今回のキー・ワードは“クリスタル・スカル”。マヤ文明などで出土した水晶で出来た頭蓋骨。これが超能力を発揮すると言われる代物。これをめぐってインディとマットと呼ばれる若者や、ケイト・ブランシェット扮するロシア軍の工作員イリーナが入り乱れます。

果たしてロシア軍は何を狙い、イリーナは何を知っているのか。核施設がオープニングの舞台、そしてナスカ平原の彼方まで舞台は拡がります。スピルバーグはやっぱり冒険活劇が似合っています。

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イースタン・プロミス

おすぎ

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デヴィッド・クローネンバーグという監督は“鬼才”などと呼ばれていますが、それって今は昔の話です。「スキャナーズ」や「裸のランチ」あたりの頃は“鬼才”はホメ言葉でしたが、3年前の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」で“巨匠”の雰囲気を漂わせはじめ、今回の「イースタン・プロミス」では完全に“巨匠”になりました。そして、主演のヴィゴ・モーテンセンも、「ロード・オブ・ザ・リング」で大役をこなし「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でのクローネンバーグと組んで、一皮も二皮もむけて、堂々たる実力俳優として地位を確立しました。

「イースタン・プロミス」の意味は、イギリスにおける東欧組織による人身売買契約のことをいうそうです。で、舞台はクリスマスが近い冬のロンドン。ドラッグストアーに下半身を血だらけにした女の子が入ってきて倒れる。病院で手術をうけ、女の子を出産して死んでしまう。立ち合った看護師のアンナ(ナオミ・ワッツ)は生まれてきた子のために母親の身元を調べようとする。バッグから日記が出てき、ロシア人のタチアナ14歳と判る。日記にはロシアン・レストランのカードがはさまれていて、アンナはその店を訪れる。そこで謎の男ニコライ(V.モーテンセン)と出会う。これが運命的な出会いだった…。

ロンドンの別の顔(ロシアン・マフィアの暗躍)を描いて美事社会派サスペンスになっています。

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JUNO/ジュノ

おすぎ

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本年度、米アカデミー賞の脚本賞でオスカーを獲ったことが話題になっている、と書いて、何故、脚本くらいで週刊誌などが記事にしてるかということを最初に言わなくてはイケませんね。

確かに「ジュノ」の脚本は良く出来ているし、それでホメられても少しもおかしくはありませんが、脚本を書いたディアブロ・コディは、これが初の映画用脚本で、ストリップ・ダンサーを経験した、というので話題の人になったのであります。そして、「ジュノ」の内容が、16歳の高校生が興味本位から同級生の男の子とセックスをしたら妊娠してしまった、というものなのです。こんな題材を日本で映画にしたら、もう暗くてシリアスで、でも結局産んじゃったら、養子に出そうと思っていたけど愛情が芽生えて、ひとりで強く子育てに励みました的な美談にしてしまうのにきまっています。

でも、「ジュノ」は、一回は自殺も考え、堕ろそうともしますが、産む決心をして、産んだ子を里子に出そうと里親まできめて、妊娠したことを両親に打ち明けて協力を求め、秋から冬、春が来て、予定日の初夏まで、お腹を大きくして毅然と生活していくのであります。明るく、率直に、少女から自立する女性に成長していく姿は見終わって“さわやか”な気持ちにさせてくれる秀作です。必見の一本です。

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ぐるりのこと。

おすぎ

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今年度、日本映画ナンバー・1と私が決めた映画が公開されます(6月7日より)。6年振りに新作を発表したのは「ハッシュ」の橋口亮輔監督。「ぐるりのこと。」は、法廷画家を職業としたカナオと本の編集者だった妻の翔子の10年にわたる夫婦の話です。

橋口さんは、この6年の間に“鬱(うつ)”を患い、そこからの回復の体験(映画の設定として翔子がウツになることは患う前から決まっていた、といいます)をし、肉体的にも精神的にも、ツライ状態の中で撮り上げた作品です。映画の最初に翔子は妊娠していますが、お腹の子は死んでしまい、それがキッカケで“ウツ”にかかってしまいます。夫のカナオは、そんな妻と向き合いながら、裁判所で画を描いていきます。10年の月日の中で、様々な事件を絵にしていきます。その社会の動きと夫婦生活の時の流れがリンクされ、ひとつの夫婦の歴史が描かれていきます。

とにかく、これほど見ている最中に“夫婦”のやさしさが心に浸みこんだ映画は今までなかった。私はゲイだから、夫婦というものを頭では判っていても実感として感じたことはありませんでした。それが、この映画で「もしかしたら夫婦っていうものの何センチかが判った」心境になりました。夫役のリリー・フランキーさんがなんと美事な演技を見せてくれることか。必見の一本です。

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