おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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ダークナイト

おすぎ

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「ダークナイト(夜の騎士)」はクリストファー・ノーラン監督とクリスチャン・ベールが組んだ「バッドマン/ビギンズ」の2作目であります。話題は、今年急死した「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた“ヒース・レジャー”が世紀の大悪党“ジョーカー”を演じているということと、「サンキュー・スモーキング」で認知度があがったアーロン・エッカートがゴッサム・シティーの新任検事ハービー・デントとして登場してくることでしょう。ふたりともブルース・ウェイン=バットマンと複雑にかかわりあってきます。

今回の“バットマン”はハッキリ言って、扱いづらい作品です。“ジョーカー”という狂気じみた残忍な人物(第1期シリーズの第1作「バットマン」ジャック・ニコルソンが演じたジョーカーとは、まったく異なった人物になっています)は、どんなルールも一切関係ない、たとえ自滅しても平気、ただ、ただ、破壊に熱中していく者として描かれています。彼が動くことでストーリーが次々と変化し、彼が何か仕掛ければ、まったく違う展開が始まります。それを書いたり、喋ったりすれば、映画を見る意味が希薄になってしまう怖れがあります。派手だし、サスペンスはたっぷりありますが、全篇、暗い、限りなく暗いのです。ゲイリー・オールドマンマイケル・ケインモーガン・フリーマンと名優揃いですが総てが迷っている。あげくに、そういう終わり方…。でも、つまらなくはない…。あなた見ますぅ…?
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カンフー・パンダ

おすぎ

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別に“パンダ”が圧倒的に好きっていうわけでもありません。アニメーションは、どちらかというと嫌いなのに“ドリームワークス”がパンダを主役に“カンフー映画”を作ると聞いた時から「見たい!!」と何故か思いました。映画会社の試写室のところに立看板が登場した時、増々「見たい!!」。何で、そういう風に思ったかは定かではありませんが、そう思ったのです。今まで、これだけは絶対見たい、と思った映画は確かにありましたが、アニメではまったくありませんでした。まぁ普通、これだけ熱望しちゃうと、いざ見ると“フーンだぁ”になる可能性が大なのに今回は、それは期待以上だったのです。「カンフー・パンダ」楽しい。

まず、主人公のパンダのポーはラーメン屋の息子で運動はからっきしダメ。グーたらなのに“カンフーおたく”、平和の谷の山の頂上にある寺院にいる5人の“カンフー・マスター”に憧れている。平和の谷に危機が訪れようとしていた。宿敵の“タイ・ラン”が捕われの身から脱獄して、復讐に来るという。指導者の導師は5人のマスターから伝説の“龍の戦士”をきめるため武術大会を開くことに…勝者に“免許皆伝の巻き物”を渡すという。ポーは試合を見に行ってどういうわけか“龍の戦士”に指名される…。さあ、どうするポー!!

シネスコのスクリーンを生かした華麗なカンフーの技の数々。登場人物たちのキャラクターの妙味、映像の映像の美しさ。楽しい、面白い、嬉しくなっちゃうこの夏のアニメは「カンフー・パンダ」一本!!
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インクレディブル・ハルク

おすぎ

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ちょっぴり早いのですが8月1日公開の大活劇、大恋愛巨編の紹介を…。「インクレディブル・ハルク」。そう「ハルク」の登場です。2003年にアン・リーの手で映画化(主演はエリック・バナ)されましたが、今回はあんな凡作とは大違いの大興奮の一本です。

ブルース・バナーは科学者で、ロス将軍の命令で、人体が放射能を受けたとき、どこまで抵抗出来るか、そして、抵抗出来る身体を作る実験をしていた。ところが実験の最中(さなか)、事故が起こり、多量のガンマ線を浴びてモンスターに変身してしまう。物語の発端を今回はタイトルバックで見せてくれます。だからオープニングは、そんな身体になってしまったブルースがブラジル、リオ・デ・ジャネイロに隠れ、怒りを感じたり興奮したりして心拍数が200を超えると、アドレナリンの分泌とともに3メートルばかりの緑色のモンスター=ハルクに変身してしまうのを抑えるために、怒りを制御する方法を学んでいて、仕事は街の清涼飲料水の工場で働いていた。

その工場である日、機械の故障を直している時、指を傷つけ、その傷から流れた血がベルトコンベアの上にポトリ。急いで血を拭きとり安心するブルース。しかし、一滴の血がボトルの中に…。飲料水の入ったボトルはアメリカへ。その飲料水を飲んだ老人が異常な行動を起こしたこと、その情報をロス将軍がキャッチし、リオへ軍隊を送りこみ、戦闘に…。工場でブルースはハルクに変身…そして…。ブルースには恋人がいました。変身し異形なモンスターに変わってしまった愛する人を恋人ベティは愛し通せるのか…。変わらぬ愛の姿に見る者は感動するでしょう。ブルースを名優エドワード・ノートンが大熱演。クライマックスの大戦闘シーンは大迫力。お見逃しなく…。
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赤い風船

おすぎ

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何10年も前に見た映画を、その後何10年もの間、何度も見てみたい、なんて思うこと、そう滅多にあることではありません。中学生になるかならない頃、封切館でなく3番館と呼ばれた映画館で見た記憶がウッスラとあり、その後、横浜市の図書館のような施設の小さなスクリーンで、もう一度出会ってから50年近く見ていない映画。VTR、DVDも、これだけ発売されているのに、どこを見ても姿形の見えなかった映画。それが、この夏、映画館で見られることに…。

その映画とはアルベール・ラモリス監督、1956年製作「赤い風船」なのです。10歳のパスカルが、ある朝、学校へ行く途中で見つけた、1個の赤い風船、街灯のランプの枝のところに引っ掛かっていたのを街灯をよじ登って手にします。バスに乗ろうとしますが、風船を持って乗ってはいけない、と車掌に言われ、走って学校へ。授業中待っていてくれた赤い風船を、放課後しっかり握って家路へ。途中で雨が降ってきて、自分は濡れても風船を濡れさせないように、おじさんやおばさんの傘の中に入れさせてもらって家へ。家ではおばあさんが風船を家に入れてはいけないという。仕方なく、風船によく言い聞かせて手から紐を離すと、不思議なことに風船はパスカルの部屋の窓のところで浮いています。赤い風船はパスカルと友達に…。彼の行くところ、どこでもついてくるように…。そして悲劇が…。

CGもVFXも発達していない時代に、こんなにファンタジーな映画があったことに大感銘です。'53年製の「白い馬」と同時上映。必見の2本です。
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クライマーズ・ハイ

おすぎ

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日本映画ってベストセラーを映画化して原作を越えたっていうものは少ないでしょう。「アウト」にしても「マークスの山」にしても、あんなに読んでいる時にワクワクしていたものが、映画にすると読者の頭の中で描かれた映像と少しも一致しないものになってしまう。勿論、脚色の段階で、原作と映画とは違うものだ、という意識があっての上でのことだろうけど、観る方としてみれば失望してしまうのです。

ところが原作を面白く読んで、その映画化をした作品を見て楽しんでしまう映画が出来たのです。横山秀夫“クライマーズ・ハイ”原田眞人が監督した映画「クライマーズ・ハイ」は、映画としてもエンターテイメントとしても大変良く出来た映画です。

1985年8月12日、日航ジャンボ機が群馬県の御巣鷹山に墜落しました。この未曾有の悲劇をマスコミは総力をあげて報道しました。大手の新聞社は大勢の記者を挙げて現地に入りました。一方、地方紙を発行している新聞社はどうだったのか、を描いたのが「クライマーズ・ハイ」です。主人公の全権デスク悠木を堤真一が熱演しています(私が見た限りでは、今までの出演作とは違って演技に巾が出てきました)。悠木の片腕となる県警キャップ佐山役の堺雅人も好演しています。ひとつの会社を舞台にした群像劇でありますが、それは観る者にとっても日常であるはず。必ず、どこかで胸を打たれると思います。
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