おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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ハンコック

おすぎ

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ハリウッドは、この夏、アメリカン・コミックの映画化で賑わっています。ほとんどが原作のあるものばかり、その中で「ハンコック」は、まったくのオリジナルのスーパーマンの話であります。それも、史上一の汚い、無謀で乱暴者のヒーローなのです。

“ハンコック”は朝から酒浸りで、薄汚い格好で道端のベンチでひっくり返っています。子供がきて事件が起こった、と知らせても、すぐには動き出そうとせず、子供に“クズ”と言われてしまう体たらく…。しかし、動き出せば、その力は超人的、空に飛びあがれば地面のアスファルトは粉々に…。着地をすれば道路に大きな穴をあけてしまう。踏切で渋滞のため線路に立ち往生した車を助けるために、突っこんできた列車をペチャンコに…。浜に打ち上げられ動けない鯨の尾を片手で持って海に投げ飛ばすが、沖に航行中の汽船にぶつけてしまう始末…。そんなハンコックがエージェントのPRマンに出会い庶民に愛されるヒーローになるまでのお話。

演じるのはウィル・スミス。何故、ハンコックは記憶を失ってしまっていたのか、良きヒーローとなろうとするハンコックの前に意外な人物がたちはだかるのであった…。それは誰で、ハンコックの抱える謎とは果たして何なのか…。ハンコックは愛されるスーパーヒーローとなれるのか…。私は“クズ”のまんまのハンコックの方が興味はありますが…とにかくハチャメチャでラストまで見てしまいます。
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12人の怒れる男

おすぎ

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シドニー・ルメット監督による1957年の製作の「十二人の怒れる男」はハリウッド、いや、世界中の映画史に燦然と輝く名作であります。私は、この映画のリメイクは無いと信じていたし、万が一、出来たとしてもルメット版を越えるなんてことはあるまい、いや、不可能だと思っていました。それが、どうでしょう。リメイクしちゃいました。それもロシアで…。なんと巨匠のニキータ・ミハルコフが…。しかもルメット版とはまったく異なった意味で、これも史上に残る名画を作り出したのです。ただし、'57年のとは内容はまったく違います。借りたのは構造だけ…。それに現代のロシアの持つ問題をつけ加えて、それは美事な映画にしてくれました。

チェチェン人の少年がロシア人の養父を殺害した罪で裁判にかけられます。目撃者もあり、証拠も揃っている、容疑は明白です。各分野から任意に選ばれた陪審員たちも審議は簡単に終わる思っていたが…。ひとりの男が有罪支持をしなかったために、長い審議に入っていきます。陪審員の部屋が改築中なので審議は小学校の体育館で行われることに…。この舞台設定も展開のひとつの道具に上手に使われます。タイトルバックの階段を駈け降りる足のカットと、チェチェンの戦いの中で戦車の陰から走り出てくる犬のショットが、ラストに効いてくる妙を充分楽しんでください。邦題は「12人の怒れる男」です。
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俺たちダンクシューター

おすぎ

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「俺たちフィギュアスケーター」という小気味いい“オバカ・コメディー映画”がありました。スマッシュ・ヒットを飛ばした、あの映画に続編かと思わすような「俺たちダンクシューター」というタイトルの映画の登場です。“フィギュア〜”とは、なんの関係もありません。“ダンクシューター”の方は原題が「セミ・プロ」といいます。

'70年代のアメリカではプロ・バスケットリーグは、NBAとABAの2大リーグがありました。NBAが競技性や勝敗を重視するのに比べ、ABAはパフォーマンス優先のエンタテインメントリーグでありましたでありました。昔、歌手で“ラブ・ミー・セクシー”というプラチナヒットを持つジャッキー・ムーン(ウィル・フェレル)は、その印税でABAの“フリント・トロピックス”を買収し、オーナー兼コーチ、選手という目立ちたがり屋振りを発揮して悦に入っていましたが、ある日、NBAがABAを吸収すると発表。ABAは解散し、上位4チームがNBA入り(毎試合2,000人観客動員が必須条件)が出来ることに…。実力のまったく無い“トロピックス”は元NBAの選手モニック(ウディ・ハレルソン)を迎え、4位になるためにチーム一丸となって挑戦することに…。

バスケットの試合を丹念に描いていて、エキサイティングで、随所に笑いがあり、その上、ラストは感動の嵐、仕舞いには“涙”まで誘ってしまう素晴らしさ。見そこなうと今年の運の半分は無くすよ!!
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アクロス・ザ・ユニバース

おすぎ

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ブロードウェイ・ミュージカル「ライオンキング」の演出家で、映画「タイタス」の監督をしたジュリー・テイモアが、ビートルズの33曲のナンバーを使って作ったシネ・ミュージカルが「アクロス・ザ・ユニバース」であります。しかし、このミュージカルはビートルズをあつかったものではありません。ビートルズのメロディと歌詞を使用して、まったく新しい、オリジナルのストーリーを展開していきます。

基本的には“ボーイ・ミーツ・ガール”で、オープニングはイギリス、リバプール。造船所で働く青年ジュード(ジム・スタージェス)は父親捜しにアメリカへ旅に出ます。そこでマックス(ジョー・アンダーソン)と会って親友に…。ふたりはニューヨークのグリニッジ・ビレッジに住みはじめます。そこで様々な人、若者たちに出会います。60年代のアメリカはベトナム戦争、反戦運動、黒人解放運動、ドラッグ・カルチャー、ロックが流れ、混沌と反骨の精神に充ち溢れていた。そんな時代をバックにして青春を謳歌した若者たちの生態を、まるで万華鏡をのぞくような華麗でファンタジックな映像で見せてくれる映画です。

随所にテイモアの才気が噴出します。ダンスナンバーは息が飲むほどスピーディーで革命的、ビートルズのナンバーが耳に心地良く、「えっえー“ヘイ・ジュード”をここまで引っぱるかあ」というほど的確にストーリーにはめこんでいきます。楽しく見ているうちにラストは感動の恋の結末!!
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