おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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ライラの冒険 黄金の羅針盤

おすぎ

ライラの冒険.jpg

CGとSFXが進化するために必要だったのはファンタジー映画だといい切っても過言ではない、と思わせたのは、「ロード・オブ・ザ・リング」で成功を納めたニュー・ライン・シネマが再び挑んだファンタジー大作、フィリップ・プルマン原作の“ライラの冒険”シリーズであります。
「ライラの冒険/黄金の羅針盤」は、その第一部。

我々が住む世界と似てはいてもどこか違うパラレルワールドを舞台に、ライラという名の少女が真実を写し出す羅針盤を手にして冒険の旅に出るストーリーは、いつの世にも権力を一手に持ちたいと願う組織と、それらに組しない“自由”を尊ぶ人物達との闘いになります。少女ライラはそこに存在する真実を求め、旅の途中で出会うジプシャン、気球乗り、魔女族の女たち、鎧熊族のイオレクを味方にして、組織“教権”に立ち向います。主人公は女の子であっても、充分大人たちが見て面白く出来ています。とくに、かって鎧熊族の王であったイオレクがライラの力を借りて、一族の王に帰り咲く戦いに挑むシーンの圧巻と迫力は一見の価値ありです。また組織の権力者のひとりという悪役を演じるニコール・キッドマンも多少のカタさはあっても堂々たるものです。ライラを演じるダコタ・ブルー・リチャーズも小生粋(こなまいき)ではあっても魅力的です。映画の後半になるほど興奮する一作です。

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■「ライラの冒険 黄金の羅針盤」劇場・作品情報はコチラ
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いつか眠りにつく前に

おすぎ

いつか眠りにつく前に

この春は映画史に残るような映画が続々と公開されます。「いつか眠りにつく前に」もその1本と言っていいでしょう。人間、誰でも死を目の前にした時、人生の中で自分が犯した“ミス”を思い苦しむのではないでしょうか。そんな人生は送っていない、と言い切れる人はそうはいないと私は思っています。

この映画の中で、ヴァネッサ・レッドグレイヴ扮するアンは、臨終の床の上である事で自分をせめていた。ある事はアンの回想として出てきます。若いアン(クレア・デインズ)はニューヨークでクラブのシンガーをやっていますが、この日はニューポートの親友ライラ(マミー・ガマー)の結婚式にブライドメイドとして参加していた。ここで、ある事件が起きます。しかし、アンはその時現場にはいずに、ある男と会っていました。回想は戻り、年老いたアンのベッドの端で、二人の娘が見守っています。アンの口から“ハリス”という男の名前が出ます。娘たちは、その男が誰なのかを知りたくて、親友だったライラ(年を老ってからをメリル・ストリープ)を呼ぶことに…。回想と現実、幻想と困惑が混じり合いながら展開されていく映画は、つくづく頭のいい人たちって世の中にいるのだ、と思わせてくれます。メリルとガマーは本当の親子で、年を老ったライラと娘時代を演じます。ヴァネッサとナターシャ・リチャードソンも実の親子ですが、映画でもアンと娘コンスタンスを演じています。メリルが画面に出てから、人間は安らかに死ねるのだと思わせてくれるのです。とても良い映画です。

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エリザベス:ゴールデン・エイジ

おすぎ

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10年前に、「エリザベス」が公開された時は続編などというものが作られるなんて思いもしなかった。ケイト・ブランシェットの“ヴァージン・クイーン”の凛々しさで“一丁上り”と思っていたので、「エリザベス:ゴールデン・エイジ」が公開されるのが不思議な気がしたし、意外でありました。ところが見てビックリ。前作より数段も大作になっていたからです。プロテスタントを国の宗教とした父のヘンリー8世の遺志を継いだエリザベスの、今回の最大の敵はカトリックの大国スペインだった。幽閉されていた従姉妹、スコットランドの女王メアリー・スチュアートを死刑にしたことでフェリペ2世が怒り、1万人規模のスペイン無敵艦隊をイングランドに向かわせたのだ。迎え撃つエリザベスは甲冑に身を包んで前戦におもむくのだった…。この戦いが始まる前の段階でクライヴ・オーウェン扮する航海士ウォルター・ローリーへの淡い想いが描かれるが、それより、やはり国難に立ち向うエリザベスの姿の神々しいこと。ラストの岬の先端に立つケイトは、まさにエリザベス女王そのもの、といってもいいくらいの貫禄がそなわっていました。映像は勿論素晴らしいのですが衣装の美事さは特筆すべきでしょう。そして音楽、録音(城の中を歩く時の絹ずれの音など)も、また拍手ものであります。

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「君のためなら千回でも」

おすぎ

きみのため.jpg「ネバーランド」で人間洞察の鋭さを見せてくれたマーク・フォースター監督が、カーレド・ホッセイニのベストセラーを映画化したのが「君のためなら千回でも」であります。

映画は、2000年のサンフランシスコから始まります。小説家を夢見たアミールは初めての小説が出版された日、一本の電話を受けとります。故郷アフガニスタンで父の友人だったラヒム・ハーンからだった。ハーンはアミールに衝撃的な事実を伝え、20年振りにパキスタンで会いたいと言う。初めは断ったアミールだが、真実はあまりにも重かった。

まだアフガニスタンが平和だった頃、1970年代、ソ連軍が侵攻してくる前、アミールは上流社会の一員だった。裕福な家庭ではあったが母はアミールを出産する時に亡くなり、父親の手で育てられた。そんな境遇の心の支えは、召使いの息子でひとつ年下のハッサンだった。幼い頃から一緒に育ち、いつも行動を共にしていたふたり。冬休み最大のイベント、凧揚げ合戦の日、アミールとハッサンは最高の栄誉を手にしたが、悲劇が待っていた。ハッサンに起こったひとつの出来事を目撃したアミールは、その時からハッサンを避け、ある裏切りをしてしまう。離れ離れになったふたりを、尚、引き裂いたのはソ連の軍隊だった…。一本の電話でハーンに会ったアミールは、タリバン政権下の故郷に入らざるを得ず、アフガニスタンに向うのだった…。

子供の頃に裏切った代償を払うアミールの前に繰り広げられるストーリーは驚愕そのものです。心を打つ行動を見ながら涙が出てきました。人間の絆をシッカリ見て欲しい。

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「ウォーター・ホース」

おすぎ

うおーたーふぉーす.jpg映画として秀れている、とは言難いのですが、たった一枚の写真を見て、よくこんなストーリーを考え出したものだなぁ(原作、原案を“ベイブ”ディック・キング=スミスであります)と感じたことと、それをあまりにストレートな直球でありながらラストまで見せてしまう映画の力に感心してしまいました。イギリスの“デイリー・メール”という新聞に掲載されて一躍有名になった“ネス湖のネッシー”の写真がニセモノだと結論された時、写真は偽物かもしれないがネッシーがいないと言い切れるわけでは無いと、大胆な発想で生れたのが「ウォーター・ホース」です。時は第2次世界大戦真っ只中、スコットランドの村に母と姉と共に広大な屋敷に住んでいるアンガスは、ある日、ネス湖の岸辺で不思議な卵を見付けて家に持って帰ります。その卵から孵ったのは、今まで見たこともない生物だった。アンガスは、それに“クルーソー”と名付け、誰にも内緒で飼っていましたが、“クルーソー”の成長は早く、姉と母が雇ったモーブリーに知られてしまう。

大きくなったクルーソーをいよいよ湖に帰しますが、ドイツの潜水艦と間違えた英国の兵士が大砲で攻撃することに…。クルーソーの命とアンガスとの友情はいかに…。ラストの救出劇はなかなか見ものであります。爽やかなファンタジー・アクション映画です。

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スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師

おすぎ

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スウィーニー・トッド」は1846年11月に“ピープル”誌に掲載された“真珠の首飾り、ひとつのロマンス”と呼ばれる物語の中で創り出された人物であるとも言われています。トッドは客が理髪店のイスに座っている間に喉を切り裂き、彼らの血まみれの死体をダストシュートで地下室に降ろす。そこで共犯者であるパイ店の未亡人ミセス・ネリー・ラベットが死体を細かく刻んでミートパイに詰める。そのパイは何も知らない民衆に売りさばかれる、というのがストーリー。作者はトマス・プレスケット・プレストで、それが1847年に“フリート街の悪魔の理髪師”という副題がついて舞台劇となり、1973英国の劇作家クリストファー・ボンドの手で戯曲化されたのが「スウィーニー・トッド」です。この戯曲を基にして1979年スティーブン・ソンドハイムとヒュー・ホウィーラーが創り出したのがブロードウェイ・ミュージカル「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」でした。そして今、あのティム・バートンが、このミュージカルを基にして映画化したのが映画版「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」なのであります。スウィーニー・トッドにジョニー・デップが扮し、ミセス・ネリー・ラベットはヘレナ・ボナム=カーターが演じます。私は観る前に、私より先に観ていた人から「もうたまらない、あんなに血がドバドバ出て…。観てられなかった…」と聞いていましたが、観たら血の量が足りないなあと思いました。

復讐に燃えた男が理髪店のイスに客を座らせて首を真一文字に切り裂くのですもの、そりゃあ、血も出ますよ。目的を達するラストなんて何人もが殺され、ミンチになりますから血に弱い人はダメかもね。ソンドハイムの音楽はどこまでも美しく…、私は大好きな映画ですが、これって賛否が分かれるかも…。あなたはどっち派かしら。

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ジェシー・ジェームズの暗殺

おすぎ

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40歳過ぎているのに今だに人気者のブラッド・ピットが、製作もし、主演もしている「ジェシー・ジェームズの暗殺」は、伝説的存在で、真の人間性が見られないジェシーが本当はどんな人物であったのか、そして若い仲間のロバート・フォード(ケイシー・アフレック)に何故、暗殺されなければならなかったのかを描いた“心理ドラマ”であります。ジェシー・ジェームズと聞けば“西部劇”と思ってしまう人は要注意であります。勿論、列車強盗も銀行強盗もドンパチもあります。が、描こうとしているのはロバート・フォードとジェシーとの関係です。ジェシーに憧れて、彼の仲間となったロバート、しかし、ジェシーが怖れていたのは保安官でも追っ手でもなく仲間だった。ジェシーは次々と仲間を撃っていきます。もっとも信頼していた仲間を撃たなければいけない立場のジェシーにカリスマ的な存在感はありません。監督のアンドリュー・ドミニクは、その心理の象徴として荒野、それも晩秋から冬にかけての風景の中にジェシーを立たせます。空は何時も寒々としたブルーで、そこを雲が幾つも流れていきます。

そういうシーンが何度でも出てきて、観る方はイライラしてきます。要は、この映画が伝えたかったことはラスト15分だけで充分だったと私には思えるのです。暗殺してしまったあとのロバートの姿、そこは非常に興味を持てるテーマがあります。とにかく長い。2時間40分。40分は切って欲しかった。ケイシー・アフレックがいい!!

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その名にちなんで

おすぎ

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今年見た映画の中で一番好感を持った作品が「その名にちなんで」でした。

人は誰でも名前を持っています。でも、自分がつけたものではなく、大抵の場合、親がつけるか祖父母(アメリカには“ゴッドファーザー”というのがありますが…)がつけるのが普通です。「その名にちなんで」はピュリッツァー賞作家ジュンパ・ラヒリのベストセラー小説を「サラーム・ボンベイ!」「モンスーン・ウェディング」ミーラ・ナーイルが映画化した作品です。

1977年、アメリカの大学で工学を学んでいるアショケは、親のすすめるアシマと見合いをし結婚する。その後、アメリカに渡り、新婚生活を送る。アシマがアメリカの生活に慣れてきた頃、夫婦の間に男の子が生まれる。インドでは子供の名前を生まれてすぐにつけなくてもいいのだが、アメリカの病院では名前をつけないと退院出来ないと言われ、仮に“ゴーゴリ”とつけた。その名前にはアシュケを襲ったある出来事と関係があった。

月日が流れ“ゴーゴリ”が高校生になった時、文豪ゴーゴリが授業で紹介され彼が超変人だったとゴーゴリは知る。それがキッカケで家族との溝が出来てしまう。大学で建築学を専攻し、就職したゴーゴリに恋人が出来、家族との距離は増々拡がっていく。そんなある日、オハイオの大学で教鞭をとっていたアショケの身に異変が…。

自分につけられた名前によって子供としての道をはずしてしまった若者とその家族の絆を感動的に描いた秀作です。ラスト、母親アシマの生き方に感動しました。
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ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記

おすぎ

ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記.jpg
こちらも全世界同時公開であります。ジェリー・ブラッカイマーというプロデューサーは、やはり“ただ者”では無いですねぇ。映画の楽しさ、面白さを熟知していて、お金をかけ、豪華絢爛、たっぷりなサスペンスと驚くようなミステリーを作りあげてくれました。一作目の「ナショナル・トレジャー」も面白かったけれど、シリーズ化した2作目はさらに派手になり、観客が好きになりそうなエレメントを幾つも用意しています。

日本題の副題「リンカーン暗殺者の日記」より、私としては原題の「大統領の秘密の本」という方がピッタリなのでありますが、まあ、いいかぁ。今度は南北戦争の時、イギリスの女王が南軍に送ったという黄金のありかを探す旅であります。それはリンカーンを暗殺した男の黒幕としてベン・ゲイツの先祖がいたという汚名まで含んでいた。ベンの父パトリックは家名のため立ちあがらなければならなくなる。別れた妻、すなわちベンの母親エミリーをも巻きこんで展開していく。勿論、天才ハッカーのラリーも、ベンの妻のアビゲイルも大活躍し、ニューヨークからパリ、ロンドンのバッキンガム宮殿、ホワイトハウスでの発見から大統領誘拐に発展していく。果たして≪黄金都市≫は存在するのか…。とても楽しく痛快に出来た娯楽大作!!
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アイ・アム・レジェンド

おすぎ

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予告篇を何度も見て、ワァーすごそう、と思い、早く見たいと思ったのが「アイ・アム・レジェンド」でした。公開が世界同時というのでギリギリで見せてもらいました。

原作は1954年に発表されたリチャード・マシスン「アイ・アム・レジェンド」で、過去に2回映画化(1964年「地球最後の男」、’71年「地球最後の男 オメガマン」)されています。近未来のニューヨークで出現したウイルスは、またたくまに世界中に猛威をふるい、全人口の9割に感染し、死亡させた。大都会ニューヨークで生き残っていたのは科学者のロバート・ネビル(ウィル・スミス)ただひとり。彼はウイルスを世に送り出した人間の替りに、ある決着をつけようと努力していたが…。

ストーリーは“ゾンビ”もの的で新鮮味はありませんが、ニューヨークの風景には圧倒されます。見馴れた摩天楼が朽ちていたり、蔦に絡まれていたり、道路は罅(ひび)割れし、そこから雑草が生えている。カメラは、そのビル群を俯瞰で見せます。一本の道路を車を走らせている人間がいる。車にぶつかるように走る鹿の群、空には群舞する鳥の群、多分、現実のマンハッタンを撮り、それに3DアニメやCGで加工を加えたのだろうが、これが圧感なのであります。一見の価値有り。でも映画を見てる最中、ズーッとイライラ感がつきまとっていました。
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やわらかい手

おすぎ

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1968年、ジャック・カーディフ監督の「あの胸にもう一度」という映画でアラン・ドロンと共演したエナメルのジャンプスーツに身を包んだ女優を憶えていますか? と書きながら今から40年前の映画を見ている人って若い人には少ないにきまっているし、年輩の人も憶えている人は少ないかもしれないなあと感じています。

このジャンプスーツを着てオートバイに跨っていたのがマリアンヌ・フェイスフルという女優でした。当時、彼女はミック・ジャガーの恋人でした。歌手でもあり女優としての姿も1969年に終焉を迎えます。ドラッグの過剰摂取で意識不明の重体になり、その後、ドラッグ中毒となり華やかな舞台から姿を消しました。80年代に入って歌手として活動を開始し、映画にも顔を出すようになりソフィア・コッポラ「マリー・アントワネット」にも出演、そして「やわらかい手」で堂々たる主演女優復活をなし遂げました。

その「やわらかい手」は、なかなかユニークな映画です。孫が難病のため海外で手術をするのに莫大なお金が掛かる主婦のマギーは、ソーホーの歓楽街の風俗店でラッキー・ホール(壁に穴が開いていて、男の客が、その穴に男性自身を入れると女性の手によって男の客を絶頂に導くという、日本の新宿・歌舞伎町で開発されたもの)の接客として働くことに…。彼女は“イリーナ・パーム”(手のひらイリーナ)という源氏名で評判を呼ぶが…。

とにかく良く出来た映画です。中年過ぎの女性の生き様が清々しく描かれているのがとても素晴らしいし、風俗店の店長がイキで楽しい。なかなかの佳作です。
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ベオウルフ/呪われし勇者

おすぎ

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英国文学最古の英雄叙事詩で、あの「ロード・オブ・ザ・リング」にも影響を与えたとされる「ベオウルフ/呪われし勇者」が映画化され、急遽公開されることに…。

6世紀のデンマーク。国王フローズガールを讃え、賑やかな宴が催されている時、突如、醜く巨大な怪物グレンデルが襲いかかってきて王国は恐怖につき落とされてしまう。怪物を退治したものは富と名声を…と国王が約束するが立ち向かった者は死を迎えるだけだった。そこへ、ひとりの勇者が海の向こうからやってきた。ベオウルフと名乗り、怪物を美事に倒してしまうが、王国には再び殺戮の嵐が襲いかかる。誰の仕業か、とベオウルフが問うと国王は怪物の母親の仕業と答えたので、翌日、ベオウルフはその母親が棲む洞窟に向かう。そこで出会った母親は妖しくも美しい女だった。彼女はベオウルフを誘惑し、私を抱いて息子を授けてくれるなら莫大な富と偉大な王の称号を約束しようと言う。ベオウルフは情交をし怪物を退治したと国王に報告するが、王はその言葉を信じず、だが王位も王妃も、すべてベオウルフに譲ると言い残し、自殺してしまう。王位を手にしたベオウルフを待ち受ける運命とは…。

実写版映画と思って見たら、ロバート・ゼメキス監督が開発したパフォーマンス・キャプチャー技術でのCGアニメでありました。レイ・ウィンストンも、アンソニー・ホプキンスも、アンジェリーナ・ジョリー(彼女だけアニメに負けない、まったく本人でありました。笑ってしまった)もアニメでした。

前半は違和感ばかりでしたが、後半のスペクタクルのスゴさには目を奪われました。
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フライボーイズ

おすぎ

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複葉機という飛行機がスクリーンを所狭しと活躍した映画を久しく見ていません。古くは1927年の「つばさ」、1966年の「ブルー・マックス」などがありますが、私の好きなのは日本から石原裕次郎さんが出演していた「素晴らしきヒコーキ野郎」でした。飛行レースを描いた70ミリの大作で、夕焼け空を何機もの複葉機が飛んでいる様は夢を見ているみたいでした。あれから何10年も過ぎて60過ぎてからスクリーンでお目に掛かるとは思いませんでした。

「フライボーイズ」は第一次世界大戦にアメリカが参戦しなかった時、アメリカ人が志願兵としてフランスに渡り、連合軍に加勢しました。アメリカ人初の戦闘飛行中隊“ラファイエット戦闘機隊”の実話を基に作られた映画です。カウボーイとして生きてきたのに牧場を銀行からとられてしまったローリングスは、ヨーロッパで奮闘する戦闘機パイロットの姿をニュース映画で見てフランスに渡ります。ラファイエット隊に加わった彼の同僚たちはそれぞれの事情を背負った者ばかりでした。フランス人の上官に指導されながら初の出陣へ。

今、考えると、なんと大らかな戦争だったのか(勿論、当時は悲惨なものでしたが…)、複葉機の飛ぶシーンの牧歌的なこと…。悪あり、友の死あり、友情ありの大作です。ジェームス・フランコジャン・レノが好演。ケッコウ好きな映画です。
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ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた

おすぎ

ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた.jpg

レストランを舞台にして、料理をふんだんに見せてレシピも作ってくれる映画は、この何年か多く公開されていますが、“パイ”のみにこだわって、それをスクリーンに出した映画って、これが初めてだと思います。

南部の田舎町のダイナーでウエイトレスをやっているジェンナは今、仲間のドーンとベッキーと一緒に妊娠検査薬の結果を見ています。陽性と出た途端、ジェンナは頭の中で今の状況に合ったパイを完成させます。スモークハムと卵とブルーチーズのキッシュで、名付けて“アールの赤ん坊なんていらないパイ”。という具合に、何でもパイのレシピにしてしまう特性を持った女性の日常生活(アールとは彼女の夫で、結婚したら暴力男となり、自己中で、しみったれ男でもあります)を描きながら、女性の弱さと強さを見せてくれます。

この映画の素晴らしいことは、フィクションなのに登場人物が皆、私たちの周りにいる人たちと符合するのです。私の自論は「映画の中に家族や友人、自分みたいな人物を見い出したら、その映画は自分にとっての名画です」。だから、私にとって「ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた」は名画なのです。それに、登場人物全てが“少しの不幸”を背負っているというのも、とてもいい!! ラスト幸福な気分になるのもいいのです。
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ボーン・アルティメイタム

おすぎ

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マット・デイモンのジェイソン・ボーンシリーズの完結編「ボーン・アルティメイタム」 はスゴイ、面白いの一言。記憶を失って“自分探しの旅”に出たボーンが、やっと何者であるかが明かされます。

映画は2作目のラストだったモスクワから始まります。警察から逃れたボーンはパリに行き、ロンドン、スペインのマドリッド、そしてモロッコのタンジールと足を伸ばしていきます。どの街でも派手なアクションを展開しながらの移動です。この間、45分ぐらいでありますから、まるでロケットの打ち上げ状態。瞬きをしていたら何が起こっているか判らなくなります。そのくらいのスピード(映画の展開の中で、こんな言葉はあまり使いません)で画が流れていきます。そしてボーンはニューヨーク、CIAの本部に乗りこむ決心をします。そこに待っているものは…。

監督のポール・グリーングラスは「観客が求めているのは胸にせまる感動あり、度肝を抜くアクションありの、知的なスパイ映画だ」と言う通りの映画に仕上がっています。マット・デイモンのキレのあるアクション、冷静で賢明な行動力のある演技に感動してしまいます。デビュー時のあのポッチャリ型の体型が、ここまで締まってくるのも見どころのひとつです。
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ブレイブ ワン

おすぎ

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ジョディ・フォスターという女優を今さらながらスゴイ!! と思いました。「タクシードライバー」が14歳の時。あれから30年以上の歳月が流れ、ズーッと一線で活躍出来てる理由(ワケ)が判るような気がしたのが「ブレイブ ワン」 でした。

今までも“処刑人”とか“仕掛人”など映画、テレビで見てきましたが、面白いストーリーを楽しむ気持ちだけで、登場人物の悲しみや痛みを肌で感じることはありませんでした。まあ、被害に直接あっていない人物が、法で裁けない悪人を法に成り代わって処刑するっていうものが大半だったので、痛快ではあってもリアル感は薄いものだったからでしょう。

しかし、今回の主人公のエリカは、婚約者と散歩に出掛けて暴漢に襲われ、自分も3週間意識不明の重傷を負い、婚約者は死亡という目に会って、拳銃を手に入れた途端、別の人格が目覚め、悪に向かって毅然とした行動に出るという事を観客は“正当”に受け止めるはずです。そして、それらの事件を捜査するNY市警の刑事との出会いも、刑事役のテレンス・ハワードの好演によって無理のない納得のいくストーリーとなっています。

ラジオのパーソナリティが事件の前と後で声の出し方の違う、細かい演技を見せるジョディに拍手!!
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グッド・シェパード

おすぎ

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ロバート・デ・ニーロが13年振りにメガホンをとった映画「グッド・シェパード」は静かな映画です。エージェントものの代表作といえば「007/ジェームス・ボンド」のように派手なアクションが売りもののもの、と思っている人ってケッコウいるみたいですが、本来のエージェントとはかなり地味なものかもしれません。

「グッド・シェパード」のオープニングはイェール大学に通うエドワード(マット・デイモン)が大学内のエリート集団、秘密結社スカル&ボーンのメンバーとして参加した集会で先輩のフィリップ(ウィリアム・ハート)の紹介でサリヴァン将軍(ロバート・デ・ニーロ)に会い、第2次大戦中の対外情報活動に参加して欲しいと誘われるところから始まります。

そして卒業後、上院議員の娘クローバー(アンジェリーナ・ジョリー)と結婚、その当日、海外赴任命令のため戦略事務所(OSS)の一員としてロンドンに飛ぶことに…。そして戦後、CIAの創設にかかわり、エージェントとして厳しく自己を押さえた人生を歩むことに…。

CIA職員の生活がいかに家庭を犠牲にしなければならないか、息子でさえ自分の腕に抱きしめられない現実を、キューバ・ピッグス湾事件をクライマックスに描いていきます。マット・デイモンの19歳から41歳までの役作りが見どころ。

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ヘアスプレー

おすぎ

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この何年、とても良く出来たミュージカル映画が登場しています。「オペラ座の怪人」「レント」「ドリームガールズ」とステージより映画の方が感動してしまうものばかりでした。その楽しいミュージカル映画群に、さらに1本追加されるのが「ヘアスプレー」であります。

1987年にジョン・ウォーターズ監督が作ったカルト・ムービーの傑作である「ヘアスプレー」を2002年、ブロードウェイがミュージカル化し、それを映画化したのが今回の「ヘアスプレー」。ただ舞台をそのまま映画にしたのではなく、オリジナル映画の要素に新しいナンバーと振付を加えて、バージョンアップされての映画化は、舞台が持つメッセージ性を押さえて華麗で楽しい青春ミュージカルにしています。

特に1,000人のオーディションで選ばれたトレーシー役のニッキー・ブロンスキーは出色であります。チビでデブなのに歌わせたらオープニングの“グッド・モーニング・ボルチモア”から見てる方が嬉しくなってしまう程のうまさ。そしてダンスも、この身体で、これほどまでチャーミングに踊れるかぁという具合。

そして、母親エドナ役のジョン・トラボルタの存在感。メイクに5時間かかった、その容姿をジックリご覧あれ。父親役のクリストファー・ウォーケンも好演、リンク役のザック・エフロンも注目株と話題満載です。

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キングダム/見えざる敵

おすぎ

キングダム/見えざる敵
「キングダム/見えざる敵」は異色の映画といってもいいでしょう。“9・11”以降、アメリカ人はアラブ人を敵とみなしています。ハイジャック犯は大方がサウジアラビア人でしたし、オサマ・ビンラディンもそうでしたから…。この映画の監督ピーター・バーグは、だからこそ、アメリカ人とアラブ人がともにテロリストと戦っている姿を観客に見せようと思ったといいます。

映画の冒頭、サウジアラビアにある石油会社の外国人居住区でテロリストによる自爆テロが勃発し、100人以上が死亡し、負傷者が200人を越える惨事になります。FBIの捜査官ロナルド・フルーリー(ジェイミー・フォックス)は、法医学捜査官のジャネット(ジェニファー・ガーナー)と爆発物専門家のグラント(クリス・クーパー)、そして情報分析のアダム・レビット(ジェイソン・ベイトマン)の4人と現地へ捜査に向かうことに…。捜査期限は5日間、常にサウジ警察が同行することを条件にして…。

映画は、その捜査を追います。FBI職員とサウジ警察官アル・ガージー大佐(アシュラフ・パルフム)とは意志疎通がうまく出来なかったが、まるで戦争そのもののテロリストたちとの戦い(捜査というより戦争を見ているようです)をやるうちに現状は変わってきます。

とにかく、スサマジイほどの戦いを見せられて、言葉もありません。ただ、世界には日本人の知らない世界があるのだとつくづく感じさせてくれた映画です。

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パンズ・ラビリンス

おすぎ

パンズ・ラビリンス
メキシコの監督“ギレルモ・デル・トロ”の映画が好きです。「ミミック」「デビルズ・バックボーン」「ヘルボーイ」も見ていてワクワクしていました。スペインのペドロ・アルモドバルがデル・トロの才能に惚れこんでスペインに招いて作ったのが「デビルズ〜」だったので、私の頭の中ではデル・トロはスペインの映像作家というイメージが強かったのです。

去年アメリカで公開され、米アカデミー賞で“撮影賞”“美術賞”“メイクアップ賞”の3部門でオスカーを受賞した、期待の「パンズ・ラビリンス」も舞台はスペインなのです。

それも時は1944年、フランコ政権真っ只中、レジスタンスが各地で政府軍と戦っている時、その山の中の道を親子を乗せた自動車が走っていきます。母カルメンは政府軍のビダル大尉の子がお腹にいて、すでに臨月を迎えています。娘のオフェリアは前夫の子で、再婚の義理の父に不安を持っています。山道の途中で車が止まり休憩に入った時、オフェリアは道端で石像を見つけます。片目がとれた石像に傍に落ちていた目をはめこむと、そこから妖精が出てきます。さあ、オフェリアに与えられた2つの世界。現実と地底に存在する王国、信じられないようなストーリーが展開されていきます。

なんと緻密に幻想的に、恐怖に充ち作られていることか!! 一見の価値、千金の価いの映画です。

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