おすぎのシネマ言いたい放題

映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このブログのなかにある!

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おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。
テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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「リーピング」

おすぎ

リーピング
何の予告もなく突然、劇場公開になってしまう映画、それも本当に良く出来ているし、私の大好きなジャンルの映画ともなると地団駄踏みたくなります。「リーピング」も、そんな映画の1本です。

牧師としてスーダンで布教活動を行なっていた時、幼い娘と夫を原住民の手によって殺されてしまったキャサリン(ヒラリー・スワンク)は、信仰を捨て“奇跡”といわれる現象の真相を暴く第一人者となっていた。
そんなキャサリンのもとに、ルイジアナの小さな町ヘイブンに奇妙なことが起こっているので調べて欲しいとダグ(デイビッド・モーリシー)という牧師が頼みに来た。
ひとりの男の子が川で死んだ時から川の水が血の色になった…。それは旧約聖書の“10の災い”の前兆なのか…。牛が感染する未知の病気、ブヨとハエの大群の発生、イナゴの来襲、天から降る炎の塊は神の怒りなのか、はたまた悪魔の主張なのか…。

プロデュースしたのはジョエル・シルバーロバート・ゼメキスの両大物。
監督はスティーブン・ホプキンス
ですから安易な作りではなく、丹念に仕上げられた“災い”のシーンはリアリティがあって、その恐怖は身をひきしめてくれます。ホラーもの大好き人間には見逃せない1本でしょう。

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「スパイダーマン3」

おすぎ

スパイダーマン3
日本で初めて“ワールド・プレミア”を開催した「スパイダーマン3」はエンターテインメントとしては良く出来た映画だと思います。
理屈っぽく言えば“人間が持つ<善>と<悪>の両面を巧みに描き出した作品、、ですが、そんなことを頭に入れないで何も考えずにスクリーンを見つめ、ただ楽しめばいい映画なのであります。

ただ、欲張り過ぎて、登場人物を多くしてしまったということはあります。
ピーターの伯父ベンを殺害した犯人が“サッドマン(砂男)”に変身してスーパイダマンの敵に…というのはサービスの仕過ぎと私は思いますが、CG画面として見ると、この特撮は一見の価値があるのです。
このあたりが痛し痒しってところです。
ピーターの親友だったハリーが父の仇を討とうと復讐の鬼と化した“ニュー・ゴブリン”も見もののひとつです。ハンサムなジェームス・フランコが、これでもかと悪辣になって登場してくるので、ファンである私の胸は締めあげられ状態でありますが…。

今回の最大の見どころは、何と言っても“黒づくめのスパイダーマン”でしょう。
“赤のスパイダーマン”よりズーッとスッキリしていて格好いいのですが、これが“赤のスパイダーマン”に挑んできます。頭をカラッポにして楽しみましょう。

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「バベル」

おすぎ

バベル
菊地凛子の話題で日本人の大半が「バベル」というタイトルを知っているのではないか、と私は思っています。
試写を見る前から、ハリウッドの多くの関係者が「リンコはスゴイ!!」と言っていたと多くの媒体が騒いでいたので、どんなものか期待して見たのであります。

「バベル」は言葉が通じないものの象徴として存在します。
映画「バベル」もコミュニケーション出来ない、いわば心が通じ合わない状態に陥ってしまった4つの国の人間たちのエピソードをつづった作品です。

モロッコで1発の銃弾で撃たれてしまったアメリカ人夫婦、アメリカに残してきた夫妻の子供たちはメキシコのベビー・シッターに連れられて彼女の息子の結婚式に出席して思わぬ悲劇に出会います。
モロッコでライフルを観光バスに向けて撃ってしまった兄弟とその家族の悲劇、そのライフルをモロッコに持ちこんだ日本人の男とその娘をめぐるエピソード。

映画としては決して出来の悪いものではありません。
どちらかといえば秀作でしょう。
でも私は、この監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが苦手なのです。それに日本人のパートで、コミュニケーション出来ない状態のひとつを娘が聾唖と設定したことに違和感を持ちました。
凛子も、あの程度の演技でのアカデミー賞ノミネートに私は疑問でした。

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「ロッキー・ザ・ファイナル」

おすぎ

ロッキー・ザ・ファイナル
シルベスター・スタローン「ロッキー」の6作目を作る、と聞いた時は「バッカじゃないのォ」と心底思いました。
今さら、何故、ロッキーなの? でも今年アメリカで公開され、ヒットしたと聞いては見ないわけにはいかない、と…。

しかし、見る前は、どうせ無駄な時間を過ごすんだろう、と期待はゼロでした。
それがどうでしょう。
映画が始まって30分もしないうちから目には涙、スクリーンが滲んでしまい、ラストまでズーッと泣いていました。名作だとか秀作だとかではないけれど、30年前に1作目を見た時の感動が蘇ってしまい、ロッキーの30年と私の30年が重なって、なんとも感無量になってしまったのです。

生卵を飲むシーンあり、屠蓄場で肉にパンチを浴びせるトレーニングシーンあり、美術館の階段を駆け上るシーン、勿論、あのビル・コンティの名テーマ曲が流れ、その上、雪が降り、という、これ以上ない効果が胸をしめつけます。

年を老った元有名人の悲哀から始まって、家族、友人とのコミュニケーションの再生というテーマも小気味良く描かれていて、文句ない作品になっています。
フィラデルフィアの街角、アイススケート・リンク跡地など1作目の面影が映画に色をつけ満足、満足、の作品に…。


「ロッキー・ザ・ファイナル」特集


「輝ける女たち」

おすぎ

輝ける女たち
何時も試写を見る時は事前に情報をまったく入れないようにしています(大作とか、話題作で自然に耳に入ってしまうことはありますが…)。「輝ける女たち」も、フランス映画でカトリーヌ・ドヌーヴエマニュエル・ベアールが出ているくらいしか頭の中に入れないで出掛けました。

舞台はニース。
映画の面白さは、自分が行ったことのある街をスクリーンで見ることでもあります。
“カンヌ国際映画祭”に通っていた頃、必ずニースの空港に着き、1泊してカンヌに入ったものですから、ニースの海岸が写っただけで、もう喜んでしまいました。
そしてキャバレー。その名も“青いオウム”。
当然、ステージがあって、ミュージック・ホールばりにショーを見せてくれます。歌姫がベアールで彼女自身が歌を唄っています。それも6曲も披露してくれます。

キャバレーのオーナーが自殺して、彼を父のように慕ってきたマジシャンのニッキー、そして彼の息子と娘が集まりお葬式をするというのがオープニング。子供たちは後を引き受けるつもりはありません。
ふたりの母親は異なっていて、息子の母がドヌーヴというわけ。人間それぞれ“秘密”があり、だからこそ楽しい。スクリーンを見ながら思わず満面微笑が…。
大好きな映画です。

■「輝ける女たち」の作品情報・劇場情報はコチラ


「クィーン」

おすぎ

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ヨーロッパであれ、世界中であれ“王族”とか“王室”とかいうものは何となく耳目を集めさせてはいけない、という空気が私たち日本人にはありますよね。
そんな中、スティーブン・フリアーズ監督が作った「クィーン」を見た時、ショックを受けました。
いえ、良い意味でのショックです。イギリスの王室を襲ったスキャンダルの渦の中で、エリザベス女王はどのように考え、行動したのか。時の首相のブレアは、その時、どんな働きをしたのかを美事に描いたからです。

スキャンダルとは勿論、ダイアナ妃の事故死です。すでに民間人に戻ったダイアナに対して王室の反応は冷ややかだった。その中でブレアは国民が王室に対して反発を持たないために何をしたら良いかを模索し、王室と国民の橋渡しになることに徹した様を本当に美事に描き切りました。その展開は上質のサスペンスを見ているみたいです。

エリザベス女王を演じ、米アカデミー賞でオスカーを手にしたヘレン・ミレンはシリアスなまでにエリザベス女王を演じ、気晴らしに出たスコットランドの大自然の中、自動車の故障で、助けがくるまでたったひとりになった時の女王の様には、思わず喝采を叫ばずにはいられませんでした。


必見!!

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「恋しくて」

おすぎ

恋しくて
沖縄を中心にして映画作りをしている中江裕司監督の新作は「恋しくて」。
石垣島出身のミュージシャン“BEGIN”のエッセイ“さとうきび畑の風に乗って”にインスパイアされ、彼等からの話も聞き、彼等のエピソードに、中江自身のオリジナル・ストーリーを混ぜて作られたのが「恋しくて」です。

タイトルの「恋しくて」はBEGINの大ヒット曲の題名からとったものです。映画のオープニングは高校生になった加那子(山入端佳美:やまのはよしみ)が幼馴染みの栄順(東里翔斗:あいざとしょうと)と再会するところから始まります。加那子の兄のセイリョウ(石田法嗣:いしだほうし)の「バンドやるどー」の一声で、楽器も弾けない連中がバンドを組むことに…。
この素人バンドがどのようにして東京のテレビ局のコンテストにまで進出してくるかを、中江独特の明るく、前向きに、石垣島の風習・風俗も取り入れて見せてくれます。“八重山バンド天国”というコンテストに出場するバンドは全て石垣島で活躍しているバンドたちなのが楽しい。

加那子と栄順との淡い恋も、携帯の無い時代の“切なさ”や“期待感”がにじみ出ていて懐かしさが一入であります。セイリョウ役の石田法嗣がとてもさわやかで、その上、哀感があっていい!!

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「ホリデイ」

おすぎ

ホリデイ
キャメロン・ディアスケイト・ウィンスレットジュード・ロウジャック・ブラック、それにイーライ・ウォラック(大ベテラン)という豪華キャストの新しい形(ホーム・エクスチェンジという、ネットで知り合った見ず知らずの者同士がお互いの家を自由に使う、欧米では普通に利用されている休暇の形態)のラブ・ストーリーです。

ロンドンに住むケイトとロスに住むキャンデスは男関係がうまくいかず休暇をとることに、ネットでケイトがホーム・エクスチェンジの募集をしたら応じてきたのがキャメロン。それぞれの場所で新しい出会いをするふたり。キャメロンの相手がケイトの兄で子持ちのジュード、ケイトはエキセントリック風に見え心優しいジャックと出会います。さて、2組の恋の行方は…。

私としてはケイトとジャックのカップルの方が見ていてズーっと面白く思えました。まあ、場所がハリウッドということもあって、老シナリオライターのイーライなどが絡んできてドラマとしての深みもあり、イーライの口にするセリフもジーンとくるし、クレジットされていないがダスティ・ホフマンのカメオ出演もあり(どこで出てくるかお楽しみ…)、楽しめました。

それにしても、ジュードは美しい、久し振りに美男を見た気がします。



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「ブラックブック」

おすぎ

ブラックブック
ロボコップ」「氷の微笑」のポール・バーホーベン監督が20年振りに故郷のオランダに帰って作ったのが「ブラックブック」であります。今まで“ナチス・ドイツ”を取りあげた映画の多くは“ナチス”が悪者として描かれてきました(ナチスの兵隊の中にも良い人はいたでしょうが、人道的立場から言えば非人間的な組織でした)。
ところが「ブラックブック」はオランダのレジスタンス運動に従事している人間の中の裏切り者を取りあげています。

1944年、ハーグで歌手をしていたラヘルは、ドイツ軍から解放されたオランダ南部へ逃げようとして仲介人にまかせるが、何者かの裏切りによって、家族も殺され、かろうじてラヘルだけ生命をながらえることが出来た。彼女は名前をエリスと変え、情報収集のため(レジスタンスの組織への…)ドイツ将校の元へ身体を張って乗りこんでいくが…。敵であるはずの将校を愛してしまうエリス。レジスタンスの仲間が行動を起すとそこには必ずナチスが現れ、仲間は殺されてしまう。濡れ衣をきせられるエリス。はたして裏切り者は誰…。

暗くなりがちなテーマを見ごたえのあるエンターテインメントにしたポールの腕は見どころであります。

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「ナイト ミュージアム」

おすぎ

ナイト ミュージアム見るまでは、スッゴイ怖いホラーか何かかなあと勝手に思い込んでいたのが「ナイト ミュージアム」でした。
ところが大違い、よくまあ、こんな発想が出来るものだ、というくらい独創性に富んだファンタジーでありました。
まあ、夜の博物館の様変わりだけっていうのも興味津々なのですが、主人公のダメおやじが、離婚して妻の方に引き取られた息子の信頼を勝ちとるために奮闘するストーリーもベタベタしないで描かれていて楽しく見てしまいます。

ニューヨークの自然博物館の夜警に就職したラリー(ベン・スティラー)は夜になって陳列物たちが息を吹き返す様を見てビックリ!!
博物館の入口を入るとすぐ展示されているティラノサウルスの骨格が、骨格のまま動くのは見ていて嬉しくなります。
すごい勢いで骨のまま広いロビーを駆けまわる格好は想像していたものよりズーッとリズミカルで、その上、意外な心根を持っている怪獣と知って、またまた楽しくなります。
馬にまたがった第26代の大統領セオドア・ルーズベルトも蝋人形で飾られていますが、これも生命を得て夜は大活躍。
演じているのはロビン・ウィリアムズ
何の予備知識も無く見た方がズーッと面白く見られると思う。

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「パリ、ジュテーム」

おすぎ

パリ、ジュテーム世界の錚々たる映像作家18人が終結してパリの街角を舞台にして5分間の小さな愛を綴っていく映画が「パリ、ジュテーム」であります。
日本人は短篇映画というものを敬遠しがちですが名だたる名匠たちの映画界デビューは短篇という人は多いのです。
今回もジョエルイーサン・コーエン、ガス・ヴァン・サントアルフォンソ・キュアロンなどが参加しています。

まあ、18のエピソードがあれば、中には嫌いなものがあります。私は日本人監督でヨーロッパで活躍している諏訪敦彦さんのは×でした。
一方、G・V・サントのマレ地区を舞台にしたエピソードはドラマもあるわけではないのに好きでした。
ハンニバル・ライジング」でレクターの若き日を演じているギャスパー・ウリエルが顔を見せています。そしてジェラール・ドパルデューが監督(共同監督としてフレデリック・オービュルタンの名も…)し、ジーナ・ローランズが脚本を書いたカルチェラタンのレストランを舞台にしたエピソードも素晴らしいのです。
唯一、ファンタジーのマドレーヌ界隈はヴィンチェンゾ・ナタリが監督し、イライジャ・ウッドが吸血鬼の女性に惚れてしまうというもの。
話の展開がシャレていて文句なく楽しい!!

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「今宵、フィッツジェラルド劇場で」

おすぎ

今宵、フィッツジェラルド劇場で
ロバート・アルトマンは偉大な監督だったと私は思っています。

M★A★S★H マッシュ」も傑作でしたが、彼はアンサンブル劇において、その才能を見せつけてくれました。「ナッシュビル」のように音楽を題材にしたもの、「ショート・カッツ」のように人間の側面を巧妙に描いたものは特に素晴らしいものを持っていました。

そのアルトマンが去年11月に亡くなりました。
そして1本の映画を残してくれていました。
それが「今宵、フィッツジェラルド劇場で」であります。

ミネソタ州のセントポールにあるフィッツジェラルド劇場では雨の土曜日の夜、全米のリスナーに長年親しまれてきたWLT局のラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の最終公開録音が行なわれようとしていた。
この映画は、この公開録音に参加するミュージシャンとMCのギャリソン・キーラー、保安係、ステージマネージャー、その助手、配給係などのスタッフが織り成す、楽屋とステージの模様を描いた、「ショート・カッツ」プラス「ナッシュビル」を2で割ったような楽しい映画です。

見どころは沢山ありますが、特にメリル・ストリープリリー・トムリンがデュオで歌う“スワニー”は必見であります。思わず笑ってしまったり、手を叩いてしまいたくなるような映画です。

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「パフューム ある人殺しの物語」

おすぎ

パフューム ある人殺しの物語
原作はドイツで15週連続でランキング1位を獲得した小説です。原作者パトリック・ジュースキントは、長い間、頑として映画化を許可しませんでしたが、ドイツのプロデューサーで「薔薇の名前」を製作したベルント・アイヒンガーが名乗りをあげると、彼なら許すと映画化が実現したのです。
それが「パフューム ある人殺しの物語」です。

原作と製作がドイツ、舞台はフランスで、出演しているのはイギリスの俳優、話す言葉は英語という国際色豊かな映画になりました。
何キロ先の匂いを嗅ぎ分けることが出来る青年ジャン・バティスト・グルヌイユは香水調合師になり、至高の香水を創り出します。その製法は映画を見てお楽しみに…。
それが原因でグルヌイユは断頭台にあがることに…。
このラストの驚愕は想像を絶するものであります。首を落されるのを見に集った何千人の男と女がグルヌイユのある動作で、全員が服を脱ぎ去り、男と女、女と女、男と男と身体を重ねあいます。
そう、肉の饗宴、それも壮大な…。

果実や肉は腐る寸前が最高の味だといいます。
「パフューム ある人殺しの物語」は腐る寸前の味のする最高の映画です。香りを初めて映像化した映画と言ってもいいでしょう。
必見の娯楽大作です。

■「パフューム ある人殺しの物語」作品情報・映画館情報はコチラ


「ドリームガールズ」

おすぎ

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25年前にブロードウェイで幕を上げた傑作ミュージカルがやっと映画化されました。1961年から10年くらい活躍した“ザ・シュープリームス”というグループとモータウンレコードの創始者ベリー・ゴーディJr.をモデルとしたミュージカルで、今の若い人は知らない人も多く、かろうじて“ザ・シュープリームス”のリード・ボーカルだったダイアナ・ロスがソロになって活躍していたのを憶えているようですから、この映画で、こんな素晴らしいミュージシャンや、事業で成功すると人間が変わってしまう経営者たちのドラマを楽しんで欲しいのです。

そしてナンバーの美しさに酔ってください。新人のジェニファー・ハドソンの歌う“And I Am telling you I'm not going”を堪能し、ハドソンが歌う“One night only”をビヨンセ・ノウルズがディスコぽく歌っているのを聞いて酔って欲しいのです。

D.ロスをモデルにしたディーナを演じるのがビヨンセ・ノウルズで、スターになっていくうちにドンドン美しくなるのも見もの。一番ビックリするのはソウルとロックを融合させてパワフルに歌うエディ・マーフィの姿でしょう。
この人ってここまで出来るのォと大感激。
とにかくとてもいい気持ちにさせてくれる映画です。

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■TOL「ドリームガールズ」特集はコチラ

※おすぎさん絶賛のエディ・マーフィも助演男優賞にノミネート!
第79回アカデミー賞特集はコチラ
投票企画やカルトクイズ選手権など盛りだくさん!
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「華麗なる恋の舞台で」

おすぎ

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サマセット・モームの原作“劇場”を映画化したのがハンガリーの巨匠イシュトヴァン・サボー監督作品「華麗なる恋の舞台で」であります。舞台大好き人間は必見の映画だし、映画ファンも、この作品には拍手喝采、間違いなしでしょう。

1938年のロンドンで舞台女優として並ぶもの無しのジュリア(アネット・ベニング)は外見と違って、毎日の生活にウンザリしていた。そこに息子と同じ年齢のアメリカ人青年トムが現われ、恋におちてしまいます。この時のアネットが素晴らしいのです。退屈している時の顔と、若者と一夜を共にしたあとの朝の顔が180度変化する。見ていて思わず“判るわぁ〜”と共感してしまうのです。

ところがトムに若い恋人が出来、それも新進の女優。トムに頼まれて次の舞台で共演することに…。監督は夫のマイケル(ジェレミー・アイアンズ)。リハーサルに入った途端、夫とその女優が怪しい関係らしいと息子のロジャーが教えてくれた。

さあ、ジュリアの復讐が始まる。といっても、この時点で何が起こるか観客には判らない。でも、映画がすすむうちに、アッという驚きが…。熟年女性の怖さは、なんと鮮やかで、なんと華麗で、なんと痛快なことか…。楽しい楽しい映画!!

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「世界最速のインディアン」

おすぎ

世界最速のインディアン
タイトルの“インディアン”は、“1920年型インディアン・スカウト”というオートバイのことであります。1962年、アメリカ・ユタ州のボンヌヴィル塩平原(ソルトフラッツ)で開催された、“スピード・ウィーク”というレースで、このオートバイで時速288キロの世界記録をたてたバート・マンローの姿を描いたのが「世界最速のインディアン」であります。

監督のロジャー・ドナルドソンは1971年にニュージーランドのインバカーギルのバートの小屋の前で初めて会い、テレビ用のドキュメンタリーを作りました。それ以後、このエキセントリックでユニークな男に魅せられ、いつか彼を主人公にして映画を撮ると決心します。35年かけ、それは実現します。日本人女性、深沢恵プロデューサーの存在が完成に大きな力になりました。

映画の前半はニュージーランドからボンヌヴィルまでのロードムービーの形式をとり描かれます。この過程でバートという人物がどんな人間かが判るようになっています。「バートの人生はスピードと女だった」とロジャーはいいます。バート、この時63歳。牧場の未亡人と一夜を共にするエピソードもあり、魅力溢れる男に共感してしまいます。後半は“ポンコツ”と馬鹿にされたマシンの威力を堪能してください。見終わって誰もが“いい映画を見たなぁ”と神に感謝したくなる映画です。

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「魂萌〈たまも〉え!」

おすぎ

「魂萌〈たまも〉え!」
桐野夏生の原作を阪本順治監督が映画化したのが「魂萌〈たまも〉え!」です。
阪本さんは、どこか男っぽいイメージがありますが「」では女性を主人公にして、なかなかの手腕を見せてくれましたので期待していましたら、期待以上の出来でした。

ただし、三田佳子加藤治子のふたりのベテラン、実力派がいなかったらこうはいかなかったでしょう。
確かに風吹ジュンは一生懸命やってはいると思いますが、ふたりの前では、ただのヒヨコと言っていいでしょう。

夫が定年になり3年過ぎたところで急死、葬式のあと洋服ダンスにかけてある背広のポケットの携帯電話が鳴って主人公の敏子は初めて夫に女がいたことを知ります。

その“夫の女”を演じるのが三田さん。妻の知らない外での夫を女は“タカさん”などといかにも自分のものだったように妻の前で呼ぶあたりのしたたかさ。男に金を出させて蕎麦屋を開いている女は敏子なんて足元にも寄れない“ふしだら”さを匂わす自由を持っている、そのあたりをなんとも言えない存在感で演じきっています。
治子ちゃんもカプセルホテルに寄生する老女を好演。風呂場で上半身裸でガンバってくれます。
豊川悦司今陽子藤田弓子由紀さおりには耐えがたいものを感じますがふたりの魅力あるベテランを見るだけでも価値ありの一本です。


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「それでもボクはやってない」

おすぎ

それでもボクはやってない
Shall We ダンス?」周防正行監督の11年振りの映画はコメディではなくて社会派ドラマ。それも裁判劇であります。満員電車で女子中学生に痴漢をしたと駅のホームで言われ警察に連れていかれた青年(加瀬亮)が、自分はしていないと否定しつづけたため拘置場に入れられ、検事の取り調べでも否認しつづけ、反省がみられないと起訴され、裁判に…。正義をつらぬこうとした人間が必ずしも裁判で無罪を勝ちとることが出来ないという不条理を描いています。

「塀の中の懲りない面々」などで拘置場などの風景は見たことはありますが今回の周防さんの映画はよりリアルに描かれていて、1回拘置されるとこういう生活を送らなければいけないのか、とつくづく寒々としたものが胸を吹き抜けました。そして裁判。どんなに秀れた弁護士がついても裁判官によって判決ってどのようにでもなることにア然。

日本の男たちは総て見ることをおすすめします。“痴漢”に間違われないための教科書といってもいい映画です。満員電車に乗る時はどんな状況でも必ずお尻から乗りこむべし、電車内では両手を上に挙げておくか、両手を脇の下にはさみこんでおくべし、というように…。なんという世の中!! を実感。

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「ラッキーナンバー7」

おすぎ

ラッキーナンバー7
映画ファンだと自認する人なら、この「ラッキーナンバー7」を見逃したらいけません。

まず、キャスティングの魅力!! ジョシュ・ハートネットブルース・ウィリスモーガン・フリーマンベン・キングズレー、それにルーシー・リュー。この顔合せで、どんな内容の映画が…。

オープニングから1時間たっても何がスクリーンの中で起こっているのかさっぱり判らないのです。車椅子に乗ったブルース・ウィリスが空港の待ち合い所らしきところで若い男に話しかけ、そして殺してしまいます。

次にジョシュがニューヨークに来て友人のアパートを訪ねてきて、友人は留守で隣りにルーシーがいて、何となく会話を交しているとマフィアの男たちが現れ、ジョシュは彼らに連れて行かれ、ボスのモーガンのところへ。ボスから、通りをへだてたマンションに住む敵であるベンを殺れと言われるジョシュ。ここまでジョシュは裸であります。

これが途中から、もしかしてこういう話かなぁと興味津々となり、ちょっとした糸口が見つかるとあとはグイグイと面白くなり、ラストはあまりの鮮やかさに拍手喝采となります。ジョシュは可愛いし、セクシーだし、男っぽいし、文句なく楽しめる最上の映画であります。

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「どろろ」

おすぎ

どろろ
新年明けましておめでとうございます。
一応は“お年賀”の挨拶です。
昔は正月だというとワクワクして映画館通いをしたものです。
娯楽大作がどの劇場(コヤ)でもかかっていて、どこを見ても華やかで楽しいものでした。だから今回も娯楽大作、それも日本映画であります。封切られるのが1月27日とちょっと時間がありますが情報として頭に入れておいてください。

手塚治虫原作で、映画化するのは無理だと言われていたものを塩田明彦監督が立派に作ってくれました。
実を言うと、見る前はまったく期待していなかったのです。妻夫木クンが果たしてうまくやれるのか、と心配だったのです。
でも、とても素晴らしかった。
魔物たちに赤ん坊の時、目、耳、口、手、足、五臓六腑48ヶ所を奪われた百鬼丸を美事に演じ切りました。特に視覚を奪われていて心の目でしかものを見られなくなってしまっていますから、焦点を合わせない、というより虚無の状態の目を本当にそのように演じました。魔物を1匹殺すことによって失われた部位が戻ってくるので、(このあたりもとても興味深いのです)目が戻ってきた時の目の演技も文句のつけようがありませんでした。

とても楽しく見ましたが柴咲コウが少々、五月蝿いのがマイッたのです。

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